「打倒・駒澤」一番手へ勢いづく早稲田、クラファンは2000万円超で海外遠征へ! 箱根駅伝で「いいサプライズができたら」 (3ページ目)

  • 和田悟志●取材・文 text by Wada Satoshi
  • photo by Wada Satoshi

●駒澤の選手と「勝負」できるように

 ここまでの戦いぶりを見ると、石塚、伊藤、山口が他校のエース格と互角の戦いを見せ、駅伝主将の菖蒲も結果を示し、チームを鼓舞し続けている。

 新戦力では、ルーキーの工藤と山崎が即戦力として高いパフォーマンスを発揮。また、間瀬田、佐藤、柳本、諸冨は、それぞれの得意種目で結果を残している。

 さらに、伊福、菅野雄太(3年)といった一般組の活躍が、チームをいっそう活気づけている。

「スポーツ推薦で入ってきたメンバーも真面目ですが、それ以上に練習に対しても、私生活でも一般組がすごく真面目に取り組んでいる。一般組の意識が相乗効果をもたらし、チームにいい影響を与えている」と、山口も彼らの活躍に刺激を受けている様子だ。

山口智規は今年の箱根駅伝は胃腸炎で不出場だったが、今季はトラックを中心に快進撃を続ける山口智規は今年の箱根駅伝は胃腸炎で不出場だったが、今季はトラックを中心に快進撃を続けるこの記事に関連する写真を見る 箱根駅伝の6区で好走した北村光(4年)が出遅れているものの、彼が戦線に復帰すれば、さらに強力な布陣を築けそうだ。

「当初、箱根駅伝で5番以内っていう目標を掲げたんですけど、その目標を立てた時に『3番以内が目標』って上方修正できたらいいねっていう話をしていたんです。現時点で、本当に3番を狙えるんじゃないかって思っています。でも、3番と言わず、駅伝シーズンの前には『目標は優勝』って言えるように、いいサプライズができたらなと思っています」

 3連覇を成し遂げた関東インカレのレースのあと、菖蒲はこんな言葉を口にしていたが、その言葉には確かな実感がこもっていた。それほど、今、早稲田は勢いづいている。

 しかしながら、昨年度史上5校目の大学駅伝三冠を成し遂げた駒澤大は、大エースの田澤廉(現トヨタ自動車)が卒業しても、圧倒的な戦力を誇り、早大をも上回る勢いがある。

「まずは僕らが駒澤の選手と勝負できるようにならないといけない」と山口が言うように、エンジのエースたちが、鈴木芽吹、篠原倖太朗といった駒澤大の選手たちを打ち負かす力をつけてこそ、駅伝での頂点も見えてくるだろう。

 今年2〜3月に行なった駅伝強化を目的としたクラウドファウンディングでは2000万円を超える寄付金が集まった。それを元手に、9月には主力選手らが海外遠征を行なう予定だという。

 名門復活を期す早稲田は、まだまだ進化の途中。打倒・駒澤の一番手へ、ひと夏を越えてどんな変貌を遂げるのか。今季の早稲田からは目が離せない。

プロフィール

  • 和田悟志

    和田悟志 (わだ・さとし)

    1980年生まれ、福島県出身。大学在学中から箱根駅伝のテレビ中継に選手情報というポジションで携わる。その後、出版社勤務を経てフリーランスに。陸上競技やDoスポーツとしてのランニングを中心に取材・執筆をしている。

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