2024年の「新・箱根駅伝勢力図」 学生ハーフで見えたのは「駒澤大無双」「青山学院大の戦力ダウン」 (3ページ目)
ちょっと心配なのは、順大、そして青学大だ。
箱根総合5位の順大は、西澤郁真、伊豫田達弥、四釜峻佑、野村優作、平駿介ら主力がごそっと卒業し、チームは相当の危機感があるはず。そのなかで、誰が「次は自分だ」という存在感を示せるのか、重要なレースになった。
まず、海老澤憲伸(2年)が63分10秒(14位)と好走した。丸亀ハーフでも63分33秒とロードでは安定した結果を残し、来年の箱根は故障さえなければ出走するだろう。服部壮馬(2年)、斎藤舜太(3年)はともに64分台でPBを出し、トラックシーズンに向けて弾みをつけた。ただ、主力の石井一希(3年)は65分08秒(123位)で、前回の箱根も4区15位に終わり、ちょっと心配だ。
エースの三浦龍司(3年)を軸に春には5000m13分22秒99の高校記録を持つ吉岡大翔(佐久長聖)が入学する。箱根で勝つためには抜けた主力の穴を埋めるべく、全体の戦力アップが不可欠になるが、今回は63分台がひとりだけとパンチに欠ける結果に終わった。春からの個人種目での頑張りを、どう駅伝に結びつけていくのか楽しみだ。
青学大は、出雲4位、全日本3位、箱根3位と今シーズンは無冠に終わった。順大と同じように、近藤幸太郎、岸本大紀、中村唯翔、目片将大、横田俊吾、中倉啓敦ら強い4年生が卒業した。学生ハーフは、主力の2年生、若林宏樹、太田蒼生、田中悠登らが出走しないなか、誰が表舞台に出てくるのか、期待が膨らんだが、部内トップは箱根7区7位の佐藤一世(3年)で63分05秒のPB、10位だった。
20年の全日本のブレーキから駅伝の出場機会を得られない山内健登(3年)は63分45秒(39位)とまずまず。松並昂勢(3年)、新主将の志貴勇斗(3年)、倉本玄太(3年)、徳丸涼大(2年)が64分台。21名の選手が出走したが、65分切りは6名だった。
主力不在もあるが、学生ハーフの結果は2018年大会で梶谷瑠哉(現SUBARU)が優勝して以来、8位入賞者はゼロ。ここ10年間で6回箱根で優勝している強豪チームとしては、少し物足りなさが残る。新入生も5000m13分台が熊井渓人(須磨学園)のみと例年よりややスケールダウンしている。
駒澤大、國學院大、創価大などの充実ぶりが目立つが、ここから箱根まで青学大がどう巻き返していくのか。まずはトラックシーズンでの戦いに注目だ。
著者プロフィール
佐藤 俊 (さとう・しゅん)
1963年北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て1993年にフリーランスに転向。現在は陸上(駅伝)、サッカー、卓球などさまざまなスポーツや、伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「箱根0区を駆ける者たち」(幻冬舎)、「箱根奪取」(集英社)など著書多数。
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