2024年の「新・箱根駅伝勢力図」 学生ハーフで見えたのは「駒澤大無双」「青山学院大の戦力ダウン」

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by 日刊スポーツ/アフロ

 3月12日に学生ハーフが終わり、今季のロードシーズンが終わった。906名の選手が参加し、ガチンコで勝負したわけだが、このレースでの結果が箱根駅伝をはじめ、秋の駅伝やレースにつながってくると言われている。箱根駅伝で優勝し大学駅伝3冠を達成した駒澤大、雪辱を期す青学大など、学生ハーフとロードレースの結果から各チームの現在地を探ってみた。

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チームの看板になりそうな駒澤大・篠原倖太朗チームの看板になりそうな駒澤大・篠原倖太朗この記事に関連する写真を見る
 箱根の覇者である駒澤大は、篠原倖太朗(2年)が「勝負にこだわった」という走りで優勝を果たした。15キロの給水からスピードアップして後続を突き放した走りは圧巻で、今年は鈴木芽吹(3年)、佐藤圭汰(1年)とともに3枚看板でチームを引っ張るだろう。箱根を回避し、故障明けで参加した花尾恭輔(3年)も63分21秒(19位)で走り、「上々」と大八木弘明監督も笑みを見せた。「外さない男」は今年も駅伝で震えるような強さを見せてくれるだろう。

 山候補の金子伊吹(3年)は63分34秒(29位)でPB(自己ベスト)を出し、最終学年での箱根出走に向けてアピールした。また赤津勇進(3年)、初ハーフの篠川史隆(3年)が65分切りで存在感を示した。

 駒澤大は、この学生ハーフ以外のレースでも結果を残している。丸亀ハーフでは篠原が60分11秒(5位)でPBおよび駒澤大新記録を叩き出し、箱根5区4位と好走した山川拓馬(1年)も初ハーフながら61分36秒(12位)、箱根8区4位の赤星雄斗(3年)は62分29秒(38位)と好走した。唐津10マイルでは安原太陽(3年)が47分18秒で8位入賞、アジア室内陸上選手権の3000mでは佐藤が2位入賞を果たした。

 大エースの田澤廉、主将の山野力が卒業するが、エースが育ち、主力、中間層、さらにルーキーとして安原の弟の海晴(滋賀学園)ら5000m13分台が3名入部するなど、走力、選手層を含めた総合力は大学随一。故障者さえ出なければ今シーズンも「駒澤無双」になりそうだ。

 学生ハーフで強さと選手層の厚さを見せつけたのが箱根総合4位の國學院大だ。エースの平林清澄(2年)は前回覇者として臨み、9位。「自分が弱いだけ」と唇を嚙みしめたが故障明けという点を考えれば及第点と言える。

 その平林以上に目立ったのが箱根を沸かせたルーキーたちだった。箱根8区13位の高山豪起(1年)が63秒07(12位)、1区12位の青木瑠郁(1年)は途中でまで上位争いに喰らいついて63分11秒(15位)、箱根7区6位の上原琉翔(1年)が63分22秒(20位)と箱根組がすばらしい走りを見せた。春からのトラックで磨かれれば、もうワンランク強くなるだろう。

 さらに他大学を驚かせたのは、箱根組以外の選手たちの走りだった。木村文哉(2年)、松下裕介(3年)、瀬尾秀介(3年)が63分台で好走。鈴木景仁(3年)、青木洸生(2年)、嘉数純平(1年)は64分台。100位内に10人が入った。

 高山は丸亀ハーフで61分42秒のPBおよび國學院大記録歴代3位で走っており、青木瑠郁、嘉数も62分台を出し、非常に好調だった。課題だった中間層が確実にレベルを上げてきており、伊地知賢造(3年)、山本歩夢(2年)、平林の3本柱、主力組とかみ合えば、次回の箱根100回大会では悲願達成を実現できるかもしれない。来季の國學院大は、前回の箱根での中央大のような注目すべき存在になるはずだ。

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