順天堂大は箱根駅伝の往路に「経験者は残っている」と自信。長門監督と主要メンバーが戦略&意気込みを語る (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by AFLO

 また前回4区の石井一希(3年)は創価大の嶋津雄大に区間賞は奪われたものの、青学大には15秒勝って区間2位で走っている。経験者ふたりがいることに加え、長門監督が前回5区を走った四釜峻佑(4年)に自信を持っていることが、往路で先手を取るのが可能だと考えている要因だ。

 四釜は前回、区間3位だった青学大に58秒差をつけられる1時間11分44秒の走りだったが、長門監督は「前回は出雲と全日本で好調だったので、その時の雰囲気を見たら1時間10分を切る力があるのではと思って私も張り切りすぎてしまい、彼も調子を保てなかったところもある。ただ今年の四釜は、平常運転のレベルが去年の好調な時期と変わらない力を持っていると思う」と話す。

 今年、関東インカレのハーフマラソン(男子1部)で自己記録を2秒更新する1時間03分04秒で7位になり、全日本では最長区間の8区で区間3位。青学大を1秒差まで追い詰めた。

そして、四釜自身も「前回の箱根は最初から突っ込んで入ったのが後半の失速につながったし、12月からウエイトコントロールができずに調子を落として当日にピークを合わせられなかった。前回は1時間9分30秒を出そうと思って臨んでいましたが、今回は区間記録の1時間10分25くらいを目安にして、そこから何秒削れるか挑戦してきたい」と意気込んでいる。

 その戦力を生かすためには1区と2区の流れが重要になるが、三浦龍司(3年)をどこで使うかが注目だ。チームの流れを作るために重要な1区は、前回の箱根で平駿介(4年)が走ったが、その前の2021年は三浦が走って区間10位だった。今年の出雲の1区は野村優作(4年)が1位と19秒差の区間5位、全日本の1区は平が2位の青学大に17秒差の区間12位になっている。

 長門監督は「僕も9区を4回走っていますが、(過去の)順大を見れば同じ区間を何度も走った選手が多い時のほうが勝率は高いし、自分たちの時もそうだった。だから適材適所の配置をしていきたいと思う」と話す。

 そう考えれば三浦の起用は1区か2区になってくるが、前回、中央大の吉居大和が1区で、最初から突っ走って2位の駒澤大に39秒差をつけたような展開を考えると、それに対応できるのは三浦だろう。彼は今年も40km走をこなしていて、長門監督は「今年は40kmを走ったあとも練習で落ち込むこともないので対応力はついている。22~23kmを走る準備はしっかりできている」と話す。

 本人も「経験している区間を走ると思う」と言うが、「できれば1区のほうがいいし、そのほうがチームに貢献できると思う」とも話していた。

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