早稲田大学新駅伝監督・花田勝彦の目に映った問題点。「駅伝の変化に対応しきれていなかった」 (2ページ目)
花田監督は、今年3月にGMOの監督を退任した。早稲田大学競走部の駅伝監督に就任したのは6月である。リクルーティングを含め、実業団の監督は記録会やレースで大学生を見る機会が多いが、花田監督は母校をどのように見ていたのだろうか。
──前回の箱根駅伝も含めて、最近の早稲田は花田監督の目にどのように映っていましたか。
「相楽君の指導で、昨年は1万mで27分台が3人も出て、トラックでは非常に成績が伸びていました。速さの部分ではうまく指導ができていたと思うんですけど、箱根駅伝を含めて駅伝では周囲から求められる強さと言いますか......早稲田は期待度が高いので、そこに応える走りができていなかったですね。それは駅伝の変化に対応しきれていなかったのかなと思います。早稲田はこれまで個人の強化を軸にして、その延長線上に駅伝というスタイルでやってきました。でも、今は箱根駅伝のレベルが上がり、駅伝に特化したトレーニングが確立されてきています。駅伝を意識したなかでの強化が足りなかった。今後は、そこのところをしっかりと強化していかないといけないと思っています」
──駅伝のための練習は、どういう部分で足りなかったと思っていますか。
「駅伝のために練習をまったくやっていないわけじゃないですけど、どちらかというと個人を伸ばすためにスピード系の練習が非常に多かった。ただ、駅伝で結果を出すためには、夏合宿では秋のロードシーズンを意識したものをやっていかないといけない。私たちが現役の時も夏に走り込むことを結構やっていたので、ここ数年はその部分が足りていなかったのかなと思います」
夏の妙高高原で行われた3次合宿でも長めのインターバルなどを始め、しっかり走り込む練習もこなしていた。選手たちもこのままではいけないという危機感を持ち、積極的に練習に取り組んでいる。すぐに全体の走力が伸びることはないかもしれないが、意識が変われば行動も変わる。走行距離が増えているのは、必要なものを各自が理解しているからだろう。
──夏に注意していたことは何かありますか。
「ここ数年はケガ人が多く、長い距離を走れていない選手がいたので、自分が就任してからは練習を止めたり、ちょっと抑えさせたりしています。質の高い練習をどんどんやるというよりも、ケガをしないようにベーシックなトレーニングに取り組んでいる感じですね」
──止める指導ですか。
「瀬古(利彦)さんは、よく指導者の究極の仕事について『選手を止めることだ』と言っていました。自主的にやる選手は頑張ってしまうので、止めないとケガをしてしまう。だから、そういう選手のいきすぎを止めることだとよく言われました。『花田はやれと言わないとやらなかったけどな』と瀬古さんには冗談っぽく言われましたけど(苦笑)。上武の時は、こちらが発破をかけないとできない選手が多かったですが、早稲田は本人のキャパシティを越えてやりがちなので、そこは選手の状態を見ながらですが、『今日は抑えていこう』とか、声をかけています。まだ他大学に比べると練習の質も量も足りないですが、やろうという意識があるので、そのレベルに走力が上がってきた時は非常に楽しみですね」
まだ、競走部に来て半年にも満たないなか、チームの雰囲気は変わりつつある。現状のチームの課題や新たな取り組み、そして箱根駅伝の予選会に臨み、本戦までを花田監督はどんなプランニングを考えているのだろうか──。
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