男子短距離の新戦力候補3人。世界選手権4×100mリレーの戦力となるか (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 高橋学●撮影 photo by Takahashi Manabu

新オーダー有力候補

 この大会の結果、男子短距離で世界選手権代表内定を決めたのはサニブラウンだけ。小池が200mでの代表の可能性を高くし、上山もうまくいけば世界ランキングでの出場がなるかもしれないという状況になった。

 100mの坂井と柳田も6月26日の布勢スプリントで10秒05を突破すれば、個人種目で代表入りできる可能性を残しているが、注目の4×100mリレー代表を考えれば、100m3位(サニブラウン、酒井、柳田)までと200m2位(上山、小池)までの5人が有力だろう。

 そのなかでオーダーを考えると、土江寛裕コーチが前々から口にしているサニブラウンの2走起用は現実味を帯びてくる。日本陸連の山崎一彦強化委員長が「五輪翌シーズンは、それまでトップを引っ張ってきた選手がひと休みをする時期。そういうなかで新しい選手を起用してチャレンジさせ、可能性を広げることも重要」と話すように、海外在住のサニブラウンがリレー合宿に参加できなくても、将来を考えれば試すべきチャンスだろう。

 また新戦力を見れば、1走を希望している坂井は、今回の100m決勝でも終盤のスピードの落ちは少なく、後半強化の成果が出ていることが計測データにも示されている。また上山は近畿大学でずっと3走を務めていて、柳田は「4走しかやったことがないので」と3人ともオーダーにピタリとはまる状況だ。

 そこに、小池が入ってきたことも大きなプラス材料だ。彼は世界リレーを含む代表として1走と3走、4走を務めた経験があり、実力から考えれば新戦力の3人以上の走力も期待できる。

 弱点になりそうな区間を、「よりレベルの高い武器」としてカバーできる存在になれるだろう。目標としている24年パリ五輪の金メダル獲得のためにも、世界選手権での新オーダーでの挑戦は、極めて重要だ。

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