駒澤大・大八木監督が箱根駅伝での誤算を語る。有力校の主力が残る次回大会は「本当に戦国時代になる」 (2ページ目)
留学生が5人いるなかで、1時間06分13秒の区間賞を獲得した田澤はさすがの走りだった。だが、2位に上がった青学大の近藤幸太郎(3年)が着実に走ったことで、1分2秒の貯金しか作れなかった。ヴィンセントと競り合う展開になっていたらプラス30秒は離せたかもしれない。
その誤算は3区に大きく影響した。東京国際大のヴィンセントは結局1時間07分2秒の区間5位だったため、青学大の17秒うしろからスタート。ハイペースで入った丹所健(3年)は3kmを過ぎて青学大に追いついたが、そこから突き放すことができず、うしろにつかれた。
結局、駒澤大は東京国際大と青学大に13km手前で追いつかれると14km過ぎからは離される展開に。18.3kmでスパートした青学大がトップで4区につなぎ、駒澤大は1分59秒差をつけられた。
「本来なら東京国際大が3区まで先頭を走るだろうと思っていたのですが、それができなかったのも大きいですね。青学大は先頭に立つと気持ちよく走るチームだから、そこで主導権を取られてしまった」と大八木監督は振り返る。
4区の花尾は他校の選手が最初の5kmを14分台前半で入っているのに対し、14分50秒と消極的な走りになった。大八木監督は「ふたりともスタミナ練習が足りなかった」と言うが、上尾ハーフマラソンなどが中止になって、ハーフマラソンの実戦を積めなかったことも響いた。安原のハーフマラソンのベストは1時間08分50秒で、花尾は1時間02分(関東インカレ2部で非公認20.8kmの記録)。記録という裏づけがないなかでは、本人たちも距離への恐怖感をぬぐえなかったのは仕方ない。
復路の4区間の当日変更は、一か八かの賭けだったが「もうやるしかなかった」と苦笑する。「特に2年生はまだスタミナがないので不安はいっぱいありました。やっぱり今の駅伝やマラソンはスピードがないと通用しないと思うので、2年まではスピード強化を重視していて、『箱根のため』にみんなでまとまって距離走をガンガンやっていないので。今回の9区で区間4位だった山野力(3年)のように、3年になった時に頑張ってくれればいいなという感じの育て方をしているんです」
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