駒澤大の大八木監督が箱根逆転優勝の要因を分析。ピタリとハマった狙い (2ページ目)
それでも、1区がスローペースで数十秒差の勝負になれば2区は集団走になる。彼の力があれば、そこで2、3番手には上げてくれるはずと大八木監督は考えた。そこで、3区には区間賞も狙えるほど絶好調の小林を置き、先頭争いに加わる構想だった。
「1区はやっぱり、15km以降の不安が出てしまった。できれば30秒差でつなぎたかったのですが、47秒差だったので田澤も8位までしか上げられなかった。でも、3区の小林がいいペースで突っ込んで、3位まで上げる走りをしてくれたのは大きかったですね。4区の酒井亮太(2年)は区間11位でしたが、2位に上げることもできました。創価大が(4区で)トップに立ったのは驚きましたが、メンバーを見て4区、5区に強い選手が配置されていて、そのまま逃げ切られるだろうと思っていました」
駒澤大は、5区の鈴木が東洋大に28秒差の位置でスタートしたことが幸いした。「鈴木は初めての5区でなかなかリズムをつかめていなかった」と大八木監督は振り返るが、東洋大の宮下隼人(3年/前回5区で区間賞)が追いついて鈴木の前に出たことで、鈴木は宮下のリズムについていく走りができた。この経験は来年に向けても重要であり、最後に離されながらも下りではタイム差を詰める走りができたことは収穫だった。
往路のトップの結果は、創価大と2分21秒差、2位東洋大とは7秒差の3位。総合3位狙いから優勝が見えた瞬間だった。大八木監督は、こう振り返る。
「青学大と東海大がミスをして、うちの後ろだったのは助かりました。層の厚さが全然違うから、両校が前にいたら『復路はうちより強いだろうな』と思ってしまう。でも創価大と東洋大だったから、何とかなるかもしれないと思いました」
翌日の復路は大八木監督が考えていた、「3区間で3年生起用」がピタリとハマった。6区の花崎悠紀(3年)には58分台中盤の走りを期待していたが、それを上回る区間賞獲得の57分36秒で走り切り、創価大との差を1分13秒に詰めた。大八木監督は「これなら8区くらいで捕まえられるかな」と思ったという。
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