有力校が失速した箱根駅伝。総合2位・創価大躍進の舞台裏 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by AJPS/PICSPORT

 東海大は1区に主将の塩澤稀夕(4年)を使ったことで、4区は佐伯陽生(1年)の起用となった。今回はハイレベルな1年生たちに注目が集まっていたが、向かい風が吹く厳しいコンディションの中、活躍できたのは3区で東海大を1位に押し上げた石原翔太郎のみ。結局、佐伯は区間19位と苦しんだ。

 そんな有力校の失速に乗じて結果を出したのが創価大だった。1区の福田悠一(4年)が区間3位で滑り出すと、2区のフィリップ・ムルワ(2年)は区間6位の走りで2位に順位を上げた。3区の葛西潤(2年)が2位を維持して、4区では前回10区で区間賞の嶋津雄大(3年)がトップに立つと、2位の駒澤大に1分42秒差をつけて5区の三上雄太(3年)につないだ。そして、三上も焦ることなく区間2位の走りをすると、出場4回目にして往路優勝を果たした。

 創価大就任2年目になる榎木和貴監督は、2020年の新チーム発足時に箱根3位以内を目標に掲げていた。9位だった前回の取りこぼした区間を考えれば、3位争いに加わることは十分可能と判断したからだ。選手たちは初め、その目標達成は難しいのではと信じていなかったが、シーズンが深まるにつれて手応えを掴んでいった。

 春先には5000mの自己新を記録する選手が続出。だが、出雲駅伝の中止や、主力のひとりである嶋津が休学していた影響で、夏までの1万m上位8名の記録合計が反映される全日本大学駅伝の出場審査に落選してしまう。

 試合に出場できない不安な時期を過ごしていたが、夏合宿の成果は秋になって表われた。

 日本人エースの福田は10月に28分38秒01、11月には28分19秒26と1万mの自己記録を更新。9月に復帰した嶋津も、自己新となる29分01秒84を出すまで調子を戻してきた。また実業団チームのタイムトライアルに参加した三上、葛西と石津佳晃(4年)も、非公認ながら28分30秒台まで記録を伸ばしていた。

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