初マラソンで人生を変えた吉田祐也。箱根で競技人生を終える予定が... (4ページ目)
それとは別に日常的に陸上というスポーツをより多くの人に理解してもらい、興味をもってもらうためには、選手側からもっと陸上の面白さが伝わる情報を発信していく必要があるのではないだろうか。
「よく陸上を、野球やサッカーのように『メジャーに』って言われるけど、それには注目度の高い大会をつくり、メディアの露出を増やすことが必要だと思います。そのひとつとして選手がSNSなどを利用して『陸上はこういうスポーツです』というのを発信していかないといけないと思います。世間の人たちは実業団選手が何をしているかが気になっていると思うので、そういう情報を発信していくといいと思います」
チームには橋本崚をはじめ、マラソンで結果を出している選手が多い。つまり、チームメイトに練習メニューや調整方法などを聞いて、いろいろ学べる環境がある。
「マラソンで結果を出している選手がたくさんいるので、それを間近で見られるのは大きいです。監督だけじゃなく、選手に意見を聞いて、それを自分なりにアレンジしていくことができるので、最高の環境だと思います」
そう話す吉田は、12月に行なわれた福岡国際マラソンに出場し、2時間7分5秒で優勝を飾った。常々「タイムよりも勝負して勝ち切りたい」と語る、まさに吉田の覚悟がにじみ出たレースだった。今の学生に、吉田ほどの覚悟を持って実業団に入る選手が、はたしてどれほどいるのだろうか。
「偉そうなことは言えないんですけど、実業団は基本的にひとりで走るし、仕事として競技を続けさせてもらう立場なので、中途半端な気持ちで入るのはダメだと思う。どこに目標を置いて、どう成長していくのか。そのことをしっかり考えてやっていける人は実業団に挑戦してもいいんじゃないかと思います」
そう厳しい表情で言ったあと、こうつけ加えた。
「厳しいところだけど、楽しいこともありますよ」
一度のマラソンで人生を変えた男が、実業団の世界でどう成長していくのか。福岡国際マラソンに続き、ニューイヤー駅伝でも快走を見せるのか。吉田の成長が止まらない。
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