全日本大学駅伝で東海大に誤算。8選手はどんな思いで走っていたのか (4ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Kyodo News

 本間は1年の時から駅伝のエントリーメンバーには入るも、走るチャンスを得られなかった。だが今年は、夏合宿でも練習をしっかり消化し、好調を維持した。

「途中で青学や東洋、駒澤についていけなくなり、そういう意味では悔しさはあります。ただ少しでも前が見える位置で長田に襷を渡せたらと思っていたので、最低限のことはできたかなと」

 本間は区間4位と初めての駅伝でしっかりとつなぎの役割を果たした。

 6区の長田駿佑(3年)は走る前、緊張していたという。初めての3大駅伝で、しかも競った状況のなか、自分の走りが優勝争いに直結するのを理解していたからだ。

「不安はありました。でも、チームメイトが声をかけてくれたので、自信を持って襷を受けることができました」

 長田は襷をもらうと、すぐに順天堂大と国学院大を抜くすばらしい走りを見せた。

「両角先生から『とにかく攻めて、前の集団に追いつけ』という指示が出たので、前半は攻めて、後半は粘るという形でいきました」

 4キロ手前で駒澤大と東洋大、明治大をとらえ、前をいく青学大、早稲田大を追った。その後、明治大とともに前を追い、残り300mを切ったところで襷を外し、一気に前に出て、トップで西田へとつないだ。

 長田は、昨年"黄金世代"のひとりである郡司陽大(現・小森コーポレーション)が出した37分26秒の区間記録を破る37分22秒の区間新。初駅伝で大仕事をやってのけた。

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 7区までのプロセスに誤算はあったが、トップで西田に襷がつながった。戦前、両角監督は「青学、駒澤に30秒の差をつけて名取につなぎたい」と語っていた。東海大が誇る4年生の3本柱のひとりである西田が、ライバル校にその差をつけられるか。そこが7区の最大のテーマになった。

 序盤は両角監督の声かけにも笑顔で応じるなど、余裕はあった。だが9キロ手前で九州学院の同期である青学大の神林勇太(4年)に並ばれ、先行されると、ついていくことができなかった。

「東海大の記録会が終わったあと、足の調子がよくなくて、ひとりだけ別練習をしていたんです。それでも7区で走らせてもらって、監督やコーチには感謝していますが、自分の意気込みとは裏腹に走りがよくなくて......チームに迷惑をかけてしまって不甲斐ない気持ちでいっぱいです」

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