2020.11.05

全日本大学駅伝で東海大に誤算。
8選手はどんな思いで走っていたのか

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Kyodo News

東海大・駅伝戦記 第82回

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 今季の全日本大学駅伝で東海大は2連覇を果たせなかった。だが、敗戦の将の表情は清々しいように見えた。2区が終わった時点で17位に沈み、多くの人が優勝戦線から脱落したと思ったはずだ。それでも後続の選手が懸命な走りを見せ、7区ではトップで襷(たすき)を渡すまで盛り返した。最後はアンカー勝負で敗れ、2位となったが、得たものは大きかった。

「あきらめない気持ち」

 両角速(もろずみ・はやし)監督はそう語った。さらに4年生の強さ、新戦力の台頭......箱根駅伝で勝つために大事なものが、それぞれの選手に宿った。

駒澤大・田澤廉(写真右)に敗れたが、積極的な走りを見せた東海大・名取燎太「気負わずにリラックスして走るように」

 両角監督にそう言われた1区の佐伯陽生(ようせい/1年)は、初駅伝とは思えない堂々とした走りで先頭集団のなかにいた。ラスト1キロを切って三浦龍司(順天堂大/1年)がスパート。佐伯は「三浦が注目されていて、自分も意識して走っていたんですけど......」と語ったが、三浦はU−20ハーフマラソン日本記録を6秒更新したスーパールーキーである。その実力を見せつけるかのように、キレキレのスパートを見せたが、佐伯も食らいつき、トップの順天堂大に16秒差の7位で2区の市村朋樹(3年)に襷を渡した。

「調子はよかったんですが、(三浦の)ラストスパートについていけず、最後も力を出しきれずに16秒差がついてしまった。最低限の役割は果たせたと思うのですが、自分がもっとよければ2区にいい流れで(襷を)渡せたと思うので、ちょっと物足りないです」

 自己評価は厳しいが、初の大学駅伝で1区の重圧に耐え、しっかり走れたことは今後につながる内容だった。

 その佐伯から襷を受けた市村は、5キロまで青学大と東洋大と並走するなど、先の展開に大きな期待を抱かせた。

 市村は今回のメンバーで、塩澤稀夕(きせき)、西田壮志(たけし)、名取燎太の4年生"黄金トリオ"以外では、唯一の大学駅伝経験者で、東海大はこの2区、続く3区の塩澤で主導権を握る計算だったが、5キロ過ぎから遅れ始めてしまう。苦しそうな表情から、いつもの市村ではないことは確かだった。