東海大でサークル出身→箱根10区の選手へ。伝説の男「途方もないことをやりたい」 (4ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Sankei Visual

 では、金子が目指す先はニューイヤー駅伝なのか、それともマラソンなのだろうか。

「会社としてはニューイヤーの出場。個人の目標はサロマ湖のウルトラマラソンで優勝することです。なぜ、競技を始めたのかという原点を考えると1番になりたかったからなんです。でも、トラックはタレントの部分が大きく、マラソンとか距離が長くなればなるほど取り組む努力が大きく左右してくる。そう考えるとウルトラマラソンに挑戦したほうが一番になれる可能性がある。もともと長い距離を走るのが好きですし、なんか途方もないことをやりたいんですよ」

 毎年6月に開催されるサロマ湖100キロウルトラマラソンは国際陸連公認のレース。日本のトップは、風見尚で6時間9分14秒だ。今年はコロナ禍の影響で中止になったが、来年以降、挑戦していく予定だという。

 金子は、競技への取り組みと同時に並行して続けていることがある。SNSを積極的に利用し、発信している陸上選手は多いが、金子も長年ブログを続けている。

「陸上は、まだマイナースポーツなので、まずは知ってもらわないと陸上の価値自体が高くならない。今はSNSがテレビ以上に注目度が高くなっているので、会社としても選手が何かを発信して知ってもらうのはメリットになるので大きいと思うんです」

 コモディイイダ内の公式ブログ内で「きゃねこ」として基本的に毎日1回更新し、1200回以上続いている。見てみると、実業団選手の素(す)が描かれていて興味深い。

「僕の場合、陸上界全体というイメージではなく、会社に興味をもってもらうことで共感できる選手を見つけてほしかったんです。その人に興味が出てくるとバックグラウンドとか知りたくなるし、そうして感情移入ができるようになるとファンが増えてくれるのかなと。ブログでは日常的な部分を切り取って書いていますが、1200回以上書いて『ファンです』というレスを1つだけもらいました(笑)。もっと増やしていきたいですね。監督のユーチューブも登録数が増えてきていますし、自分だけじゃなくチームを支えてくれる分母が増えると陸上界にもつながると思うので......」

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