神野大地がMGCへ自信「積み上げた
ものは31人のなかで一番ある」

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Yohei Osada/AFLO SPORT

神野プロジェクト Road to 2020(35)

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 ついに決戦の時がやってきた。

 神野大地は、MGC(マラソン・グランド・チャンピオンシップ)のために3度目となるケニア合宿を行ない、2300mの高地で5週間の厳しい練習に取り組んだ。

「今回は、以前とずいぶん違う合宿になりました」

 神野はそう言う。

「今までは現地のグループに参加して、その練習に僕が合わせて、がむしゃらに練習するという感じだったんですけど、それはやめました。5週間のスケジュールを考え、ニコラス(・コリール)やこれまでケニアに行った時に仲良くなったランナーたちに、今までとは逆に僕のメニューに参加してもらって、MGCで勝つための練習をやるようにしたんです」

「ここまで順調にきた」とMGCに向けて自信をのぞかせる神野大地「ここまで順調にきた」とMGCに向けて自信をのぞかせる神野大地 練習のなかで最も力を入れていたのが、「離れ癖」をつけないことだった。

 マラソンは先頭集団が形成され、そのグループがレースを引っ張っていく。今回はタイムというよりも順位の勝負になるので、そこについていけないと五輪出場の切符を賭けた戦いから脱落してしまうことになる。

「とにかくきつくても離れない、我慢するという練習を繰り返してきました。すべての練習を離れずにこなすことができましたね。MGCを想定して、ケニアのアップダウンの激しいコースを走り、30キロ以上のロングランも5週連続で行ないました」

 春から足が接地した時、腕が真横にあるランニングフォームを意識し、練習パートナーのニコラスのリズム感を自分のモノにすべく取り組んできた 。それらも合宿中に、ほぼ自分のモノにすることができた。アップのやり方もはまり、立ち上がりからフォームが安定し、楽に走れるようになった。

「ケニア合宿はやろうとしたことが100%できた。100点満点です」

 神野は自信を大きく膨らませて帰国した。当初は、MGC直前までケニア合宿を予定していた。だが、予定よりも早く切り上げ、MGCの2週間前の9月1日に帰国した。

 理由は2つある。

 ひとつは暑熱対策で、もうひとつは重要なデータがあったからだ。

「レースの10日前に強度の高い追い込みトレーニングをすると、いい結果が出ているんです」

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