ワクワクするMGC男子の展望。どんなレース展開が誰に有利なのか
東京五輪のマラソン日本代表選考会となるマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)が9月15日に開催される。
そこで「2位以内」になれば、そのふたりが東京五輪代表に即内定。残る3人目の代表は、今冬に実施されるMGCファイナルチャレンジ(男子は福岡国際、東京、びわ湖)で、派遣設定記録(男子は2時間5分49秒)をクリアした中で最速タイムを持つ選手が内定し、派遣設定記録を突破したものがいない場合はMGCで「3位」のランナーが選ばれる。
男子はハイレベルな参加基準を満たした30名が出場予定だ。実力では2時間5分50秒の日本記録を保持する大迫傑(ナイキ・オレゴン・プロジェクト)と、前日本記録保持者で2時間6分11秒のタイムを持つ設楽悠太(Honda)が抜けている。
さらに、2時間6分54秒(日本歴代5位)が自己ベストの井上大仁(MHPS)は、昨夏のジャカルタ・アジア大会で日本人として32年ぶりに優勝。暑さのレースでも結果を残した。MGCでは、大迫、設楽、井上が"3強"といえる存在だ。
MGCで上位を争うことが予想される設楽悠太(左)と大迫傑(右) ペースメーカー不在のレースはどんな戦いになるのか。今回の選考会にタイムは必要なく、誰もが順位だけを意識しているため、自分から積極的に引っ張る選手はいないだろう。また、東京五輪と気象条件を合わせるため、男子は8時50分(女子は9時10分)にレースがスタートする。終盤に差し掛かる10時ごろの気温は、ここ数年の9月中旬で平均25度前後。その暑さのなか、各選手が勝負どころまで力を蓄えようと考えることは濃厚で、前半はスローペースで進むと見ていい。
コースは東京五輪とほぼ同じで基本的にフラットな道が続き、35km過ぎの水道橋駅から四ツ谷にかけて約30m上る。誰かがアクションを起こさない限り、勝負は35km以降になるだろう。
残りの距離が短いほどスピードのある選手が有利になっていくため、「早めに仕掛けたい」と考えている選手も出てくる。ロングスパートを放つ可能性が高いのは、昨年12月の福岡国際で、14年ぶりの日本人Vに輝いた服部勇馬(トヨタ自動車)だ。
スタート時の気温が20度を超えた福岡国際で、服部は35kmからの5kmを14分40秒までペースアップ。設楽を突き放して、日本歴代8位の2時間7分27秒を叩き出している。この勝ちパターンで日本代表を狙ってくるはずだ。
1 / 2