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ワクワクするMGC男子の展望。
どんなレース展開が誰に有利なのか (2ページ目)

  • 酒井政人●取材・文 text by Sakai Masato
  • photo by Kyodo News

 しかし、それはほとんどの選手が想定しているはず。井上は素早く反応するだろうし、設楽は大胆なスパートが魅力。服部よりも先に仕掛けるかもしれない。

 設楽は福岡国際で2時間10分25秒の4位に沈んだが、7月7日のゴールドコースト(オーストラリア)では2時間7分50秒の好タイムで優勝。レース後には、「MGCは勝てる自信しかない。今走っても勝てる」と強気なコメントが飛び出すほど、自信を取り戻した。7月下旬には、今回のMGCには出場しない双子の兄・啓太(日立物流)と北海道で合同合宿を行ない、「MGCはふたりで(力を合わせて)勝ちに行くつもりです」燃えている。

 一方、大本命の大迫はというと、これまでのマラソンを見る限り、前半は集団後方でレースを進めるだろう。7月中旬の取材では、「100%の準備ができて、100%のレースができれば、勝てると思いますけど、優勝できるかといえば、他の選手の状態もあるので何とも言えません。今回は単純に2位以内に入れればいいかなと思っています。特に誰かを意識することはありません。レースで起きたことに対して柔軟に対応していく。それだけです」と語っていた。今回も終盤の勝負どころまでは前に出てこないと読む。

 大迫は7月22日のホクレン・ディスタンスチャレンジ網走大会1万mで、設楽らMGCファイナリストに先着して27分57秒41をマーク。8月10日のHOT TROTハーフマラソン(アメリカ)では1時間2分23秒で優勝を飾っている。持ち味のスピードを生かしたラストスパートで東京五輪を引き寄せるつもりだ。

"3強"以外で注目なのは、佐藤悠基(日清食品グループ)。大迫と同じようにじっくりとレースに対応することになるだろう。かつてトラックで無敵を誇った男は、少しずつマラソンにアジャストさせてきた。昨年2月の東京で2時間8分58秒の自己ベスト。昨年9月のベルリンは35kmからの5kmを14分38秒まで上げて、2時間9分18秒で走破している。

 今季は、MGCファイナリストが大挙して出場した5月12日の仙台国際ハーフを、1時間2分30秒で日本人トップ。7月7日のゴールドコーストハーフでも1時間2分36秒で日本人トップを奪い、服部に3秒先着した。7月22日のホクレン・ディスタンスチャレンジ網走大会1万mでも28分08秒34と好走していることから、終盤のスパート合戦ではキレのある走りを見せるだろう。

 前半はゆったりとレースが進み、終盤は大迫、設楽、井上、服部、佐藤らを中心に"高速バトル"へ。MGCはそんな流れになりそうな気配だ。他にも藤本拓(トヨタ自動車)、中村匠吾(富士通)、山本憲二(マツダ)らがレースを動かすかもしれない。

 新国立競技場を横目に、歓喜のゴールに飛び込むのは誰なのか。東京五輪をかけたスパート合戦は日本列島を熱くする。

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