大物・塩澤稀夕がフォアフット走法で復活。東海大の黄金世代を刺激する

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Sato Shun

東海大・駅伝戦記 第58

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「塩澤は非常によかったですね」

 両角速(もろずみ・はやし)監督は塩澤稀夕(きせき/3年)が5000優勝インタビューを受けている姿を見ながら、笑みを浮かべてそう言った。よほどうれしかったのだろう。インタビュー後に塩澤とスポンサーボードの前で記念撮影をするなど、なかなか見られない姿からもそれをうかがうことができた。

ホクレン・ディスタンスチャレンジの網走大会で優勝した塩澤稀夕ホクレン・ディスタンスチャレンジの網走大会で優勝した塩澤稀夕 レース後、塩澤が両角監督に結果報告をすると、こう声をかけたれた。

「風がきつかったけど、普通に走れば1340秒台の力がついてきている」

 塩澤はホッとした表情を浮かべていたが、「次は夏合宿ですね」ともう気持ちを切り替えていた。

 7月、長距離記録会のホクレン・ディスタンスチャレンジ2019は千歳大会から始まり、深川、士別、北見、そして網走大会までの計5戦が行なわれた。

 東海大の選手たちは、初戦の千歳大会から各大会にエントリーしており、サブイベントとして開催された士別ハーフには郡司陽大(ぐんじ・あきひろ/4年)、鈴木雄太(3年)らが参加した。

 ただ全体的な結果としてはもうひとつで、網走大会までの4大会で自己ベストを更新したのは、千歳大会5000mの小松陽平(4年)のみ。トラックシーズンの総決算であり、ドーハ世界選手権の派遣記録を突破するチャンスもあったが、タイムは厳しいコンディションの影響もあって伸びず、順位も厳しい結果となった。

「全体的に物足りないですね」

 両角監督は厳しい表情でそう言った。

 そんななか、網走大会で塩澤が内容、結果ともに満点のレースを見せた。

 網走大会5000mB組には、塩澤のほかに西川雄一朗(4年)、小松、名取燎太(3年)、市村朋樹(2年)が出場した。塩澤は全体のタイムが高いA組ではなく、B組でのレースを志願したと言う。

「A組、B組、どちらでもいけると監督に言われていたんですけど、自分は勝ち切ることを目標にしていました。A組の中盤ぐらいで自己ベストを出すよりも、B組の先頭で走って勝ったほうが気持ちよく駅伝シーズンに臨めると思ったので、B組を選びました」

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