「世界に出ても恥をかくだけ」新谷仁美がアジア2位も悔しさを露わ

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Yuya NAGASE/PHOTO KISHIMOTO

 カタールのドーハで開催されているアジア陸上競技選手権大会の3日目に行なわれた女子1万m決勝。ラスト3周に入ったところからシタヤ・ハブテゲブレル(バーレーン)に突き放され、7秒01差のタイム差で2位になった新谷仁美(ナイキTOKYO TC)は厳しい表情でレースを振り返った。

「悔しいというよりも話にならないですね。タイムにも順位にもほとほと呆れているという感じです」

31分22秒63で2位になった新谷仁美31分22秒63で2位になった新谷仁美 相手のハブテゲブレルとは、過去に何試合か走ったことがある。彼女の自己ベストは、新谷より少し早い30分47秒25だが、それは2012年に出したもの。昨年のベストは、アジア大会で5位になった時の32分30秒24で、今季はまだ1万mを走っていなかったため、新谷は相手の力を勝手にイメージしてしまったという。

「6000mまでは彼女もついてくると思っていましたが、7000mまでには離せると予想していて、そこでも離れてくれなかった。そこで自分もペースの上げ下げができなかったのが、彼女にとって、(自分が)いいペースメーカーになってしまったという感じです。5位で終わった世界選手権モスクワ大会(13年)と同じ感じになってしまったと思います」

 新谷は4周目から前に出ると、74秒台のペースに上げて2400m過ぎにはハブテゲブレルとの一騎打ちの展開に持ち込んだ。そこからは75秒台のペースをキープして引っ張り続け、5300mでは一度相手に前に出られたが、すぐに抜き返して主導権を握り続けた。

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