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プロランナー神野大地、フルーツ缶で
体質改善し、ケニアで限界に挑む (3ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun

 神野にとって最大の懸念材料だった腹痛の原因が解明されたことは非常に大きい。まだ、フルマラソンでの試験結果が出ていないが、このままフルーツ缶詰が効いて痛みが出ず、不安を解消できればより自信を持って自分の目標に挑める。

 今後は、9月16日のベルリンマラソンに向けて調整していくことになるが、7月9日からはアフリカのケニアで2カ月間の合宿を予定している。マラソン合宿といえばアメリカのオレゴンなどが有名だが、ケニアは世界記録を出したこともあるウィルソン・キプサングをはじめ、いま世界を席巻しているマラソンランナーを輩出している国であり、長距離の合宿もよく行なわれている。

――プロになって最初の合宿地としてケニアを選択した理由は?

「ケニアに行ったからといって確実に強くなれるわけじゃないですが、強くなれる可能性もあるからです。ケニアは高地ですし、いいランナーも多く、ここで練習した選手はみんな結果を出している。福岡で優勝したソンドレノールスタッド・モーエン(ノルウェー)も何年も前からケニアで練習していたそうです。

 合宿地のイテンにはゼーン・ロバートソンというニュージーランドの選手がいるんですが、彼のキャンプに参加する予定です。ホテルの目前にトラックがあり、ホテルにはジムも完備されていて、Wi-Fiは食堂だけ。自分の部屋ではつながらないので練習に集中できる。すごく楽しみですね(笑)」

――高地に慣れない人もいますし、現地では食事の不安はないですか。

「食事はウガリ(穀物の粉を湯で練り上げたアフリカ伝統の主食)とか現地の食事だけでは不安なので、米は持っていきます。最悪ムリって思ったら栄養士さんを呼ぶしかないですね。中野さんにもケニアに来ていただく予定です。

 僕にとっては莫大な金額がかかるんですが、それはベルリンで結果を出すための先行投資。正直、ケニアが自分にハマるかどうかわからない。でも、どこかで覚悟を決めてやらないと、このままでは東京五輪は無理だなって思いますし、劇的な変化を求めるにはケニアに行って自分の限界に挑戦するしかない。行かずして、『自分がケニアに行っていたら、どうなっていただろう』って後悔して引退はしたくないので」

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