プロランナー神野大地、フルーツ缶で
体質改善し、ケニアで限界に挑む (4ページ目)
潔い覚悟だ。
普通の選手は、心地よい環境を簡単には捨てられない。それに自分の夢に正直に生きることはとても難しい。だが、神野は東京五輪に出て、メダルを獲るという目標からブレずに、退路を断ってプロマラソンランナーとして新しい一歩を踏み出した。その人生を賭けた決断は、ライバル選手とって大きな脅威になるだろう。もちろん、神野にとっても夢の舞台にたどり着くまでは、相当の困難が予想される。
――厳しい道を選びましたね。
「でも、すべての時間を自分のために使えるので、本当によかったと思います。プロになった以上、陸上界のトップを走れるようになりたいですし、下の世代が陸上で食べていけるような道を一本作っていきたい。僕は箱根で活躍した選手が、こういう道を作っていかないといけないと思っているんで。でも、その前に自分が成功しないと、ですね(笑)」
神野は、自信ありげな笑みを浮かべた。6月からは中野ジェームズ修一を先頭にトレーニングパートナー、栄養士の三役が揃い、「チーム神野」が始動する。
神野の陸上人生を賭けた最後の戦いがいよいよ本格化する。
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