【月報・青学陸上部】3連覇ならず。出雲の敗北で何が起きていたのか (5ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun  photo by Kyodo News

 2時間13分32秒で2位――。青学の出雲3連覇、2017年シーズンの3大駅伝3冠の夢は、あっけなく潰(つい)えたのである。

 レース終了後、橋詰が「とにかく悔しくて......」と号泣し、神林も大粒の涙を流した。

 5区、6区と期待されたふたりだったが粘り切れなかった。チームメイトが肩を叩き、慰めている。しかし、ふたりとも嗚咽(おえつ)が止まらない。

 田村は、この涙は無駄にならないという。

「僕も2年の全日本の時、神野(大地)さんたちの代で負けて悔しくて泣きましたし、こういう思いは二度としたくないって思いました。それから必死に努力して、僕らは負けないチームになっていった。今日泣いた後輩たちも今回の負けをプラスにしてやっていけば、より強い青山学院を作り上げることができるんじゃないかなと思います」

 同時に田村は、初駅伝の橋詰にアンカーの重荷を背負わせてしまったことを4年生として申し訳なく思っていたという。

「アンカーは今回、橋詰の調子が一番よかったし、一番強かったので監督が任せたと思うんですが、それは僕が故障上がりだったということも影響しているでしょう。そうじゃなければ、僕がアンカーだったり、僕が3区を走り、下田がアンカーというオーダーも可能だったですし、それが理想だったと思うんですよ。今回、僕は区間新のタイムを出しましたけど、出雲前に僕の調子が上がっていれば、もっと違う結果になったでしょう。この結果を踏まえて全日本、箱根に向けてもっともっとコンディションを上げていきたいと思います」

 田村は自分に言い聞かせるように、そう言った。激走で足を痛めた、もうひとりのエース、下田も悔しさを口にした。

「(個人的な)昨年の悔しい借りは返せたと思いますが、区間賞の塩尻(和也/順天堂大・3年)には30秒以上離されましたし、昨年とあまり変わらないところが印象としてあります。まだまだ課題がありますね。それに今回はアンカー勝負で昨年と逆の結果になってしまいましたが、一色さんがいなくなったのを、どうカバーするのか、今後、重要になってくると思います」

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