柏原竜二は真剣に思う。「スポーツとサブカルを結びつけられないか」 (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 村上庄吾●撮影photo by Murakami Syogo

"山の神"として過度に注目されたことで抱いた他人への恐怖心を、富士通陸上部での5年間で克服した経験も大きなプラスになっている。

「世間の人が何を考えているか、理解することが嫌だったこともあるんですけど、今ではその必要性をすごく感じています。『この人は何を考えてこう言っているのだろう』『この人は僕に何を求めているんだろう』というのを、冷静に考えられるようになりました。現役時代にメディア対応に苦慮したことを含め、いろいろな苦しい経験をしたことが、僕の思考力を鍛えてくれたんだと思います」

 マネージャー業務をやり始めてから、「柏原さんは現役時代にあれだけ活躍したのに、今はこんな仕事をしていて『何やってるんだろう』と思わないんですか」と質問されたこともあるという。しかし、それも"純粋な疑問"として受け入れることができた。それだけ、自分に興味を抱いている証拠だと。

 柏原の意識は、富士通のアメフト部やバスケットボール部、さらに、社会人スポーツ全体をどう盛り上げていくかに向いている。少しでも集客力を高めようと、自身のつらい時期を支えてくれた、ゲームやアニメ、漫画などのサブカルチャーも取り入れることができないか、検討している最中だ。

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