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【月報・青学陸上部】注目の
出雲駅伝は「山梨学院大と一騎打ち」 (5ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun  photo by AFLO

 
 これは大きな驚きだった。下田は春先からフォームの改造に着手したが、夏合宿でようやくしっくり走れるようになり、9月の妙高高原合宿では弱まっていたコア(体幹)を使った走りもできるようになった。出雲駅伝10日前の世田谷記録会では5000mを走り、自己ベストを更新。万全の状態で出雲に入ったのだが......。 

 前を走る関の姿が遠くなっていく中、下田は頭を切り替えたという。

「もう関くんが強くて完全にかなわないと思ったんで、東海大にどれだけ粘ってついていけるか。あと、途中で山梨と30秒差と言われたんで、それを伸ばすというよりもどれだけ詰められないようにすべきか。できるだけ山梨を離して4年生に託したい。それだけを思って走っていました」

 関は24分50秒の区間トップで首位を獲得し、下田に23秒の差をつけた。
 
 下田はゴールすると、何度も首をひねった。なぜ、ダメだったのか、わからない。自問自答しているように見えた。ただ、幸いなことに青学と山梨学院の差は1秒増えて24秒差になっていた。

「迷惑かけましたね。昨年は3大駅伝の最初だから緊張したのかなと思っていたんです。今回も前日、寝て30分ぐらいで起きて12時過ぎまで寝られなくて、やっぱり緊張していました。朝の練習の時は調子がよかったんで、いけるかなって思ったんですけど、まだまだ弱いですね。どっか浮ついている感があってダメでした。みんなには申し訳ないのと悔しさでいっぱいです」 

 下田の表情から生気が消えていた。順位を下げ、山梨学院大にプラス15秒を加算するというノルマを達成できなかった。そして、自分の走りで勢いをつけられなかった。

(つづく)

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