2016.07.31

伝説のシューズ職人・三村仁司
「左右のサイズの違いに注目して」

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi 杉原照夫●写真 photo by Sugihara Teruo

金メダルシューズ職人・三村仁司に聞く(2)

日本がなぜマラソンで勝てなくなったのかを指摘する三村仁司氏前回の記事はこちら>>

 ヒットメーカー池井戸潤の最新作の舞台は銀行ではなく、足袋屋! 話題の小説『陸王』は老舗足袋屋が数々の困難に立ち向かいながら、ランニングシューズの開発、製作に挑む物語。この「足袋屋」と同じように、メダリストたちのシューズ製作を手掛けてきた三村仁司氏も、これまで多くの困難に遭遇し、克服してきた。

  前回は三村氏のキャリアを振り返りつつ、メダリストとなった有森裕子、高橋尚子とのエピソードを聞いた。今回は現在のシューズ作りについて、そして、今後の目標について語ってもらった。

 三村は2009年にアシックスを退社後、地元の兵庫県でシューズ工房の「M・lab(ミムラボ)」を設立。2010年からはアディダスジャパンと専属アドバイザー契約をして、商品開発に携わり。アディダスブランドの特注シューズも選手に提供している。

 シューズを注文しに来た選手たちには、ただ足型を取って作るだけでなく、脚の状態を細かく調べて、どの部分が弱いかなどを指摘。その改善のための方法などもアドバイスしている。再び、選手が測定に来たとき、指摘した部分が改善されていない状態を見てがっかりすることもあるそうだが、男子マラソンの今井正人(トヨタ自動車九州)、リオ五輪男子マラソン代表になった石川末廣(本田技研)や佐々木悟(旭化成)らは、しっかり改善に取り組んでいると評価する。