【月報・青学陸上部】いざ夏合宿へ。
充実の記録会で、それぞれの想い

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun

極私的! 月報・青学陸上部 第5回

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夏の記録会。カクテル光線に選手の姿が浮かび上がる夏の記録会。カクテル光線に選手の姿が浮かび上がる 7月9日、世田谷長距離記録会。この記録会がトラックシーズン、そして上半期の締めになる。青山学院大学陸上部は40名の選手がエントリーしていた。

 午前中は雨足が強かったが午後に上がり、薄日が差してきた。湿度も暑気もそれほどではない。夏の記録会にしては悪くないコンディションだ。

 陸上部はこの記録会に向けて3日前、相模原キャンパスのグラウンドでポイント練習を実施した。まず2000mを走り、少しインターバルを置いて1000mを走る。早めのタイムを設定し、負荷をかける練習だ。5、6人を1グループにして、数組に分かれて7秒間隔でスタートする。

「400、67秒5!」

 敏腕マネージャーの小関一輝らが1グル-プに1人ずつタイム計測につき、400mごとのラップタイムを大きな声で伝えていく。

 しかし、記録会にエントリーしているのにポイント練習から離れている選手もいた。3年生で主力の下田裕太は軽くジョグをしただけだった。「転(こ)けて、膝を痛めたんで」と、バツの悪そうな表情を見せ、サッと上がった。中村祐紀(3年)もジョイント練習はせず、グラウンドを出て、校内を軽く走っていた。

 この時期、部内にはいろんな状態の選手がいる。調子を上げてくる選手もいるが、故障明けの選手やある箇所に違和感を覚えている選手、春から調子が上がらずに、もがき苦しんでいる選手もいる。はっきりしているのは、みなタ-ゲットを8月の夏合宿に置いているということだ。お盆を挟んで2回の夏合宿があるが、ここで故障でもないのに走れなくなったり、あるいは"違い"を見せられないと秋の駅伝シーズンに襷(たすき)を掛けて走ることが難しくなる。そのために故障など不安を抱えている選手は決して無理はしないのだ。

 記録会は5000mが1組からスタートし、青学では13組の小野塚久弥(2年)が先陣を切った。つづく14組では石川優作(3年)が14分44秒99で4位に入り、シーズンベストを更新した。稲村健太(3年)は1週目から遅れ、最後は「ハァーハァー」と喘ぎながら36位でゴールした。そのフォームは故障したのだろう、明らかに異質だった。

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