メダルどころか惨敗の女子マラソン。できることはなかったのか?

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by YUTAKA/AFLO SPORT

 強い日差しの中スタートした、リオデジャネイロ五輪女子マラソン。日本勢惨敗の予兆は、8km過ぎにレースが少し動いた時の各選手の対応にあった。

再び日本がメダルを手にするためには、変えるべきことが山積だ再び日本がメダルを手にするためには、変えるべきことが山積だ ゆっくりしたペースで始まったレースだったが、7.5kmあたりからアメリカのデジレ・リンデンを先頭にややペースアップすると、8km過ぎでは大集団がふたつに割れる形になった。その時、日本勢は全員、後ろの集団に入ってしまったのだ。

 田中智美を指導する山下佐知子監督は「調子も悪くなかったので、何であそこで間を開けられたのかわからなかった」と話す。先頭集団にはケニアとエチオピア、アメリカの各3名に、バーレーンと北朝鮮が2名ずつ。日本勢には「アフリカ勢が動くには早すぎる」という思い込みもあったのだろう。そのアフリカ勢の前にリンデンが出たのが見えず、ジワジワとペースが上がっていたのに気がつかなかった。

 その後、田中と福士加代子は後方集団の前で引っ張ったが、前方集団との差はなかなか縮まらない。10km過ぎの給水でアフリカ勢が再び動いたこともあり日本勢は一時、10秒以上も離される状況になった。

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