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【陸上】リオ五輪へ。頼もしい男子短距離陣の層の厚さ (3ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 藤田孝夫●写真 photo by Fujita Takao

 そして、200mの接戦を受けて桐生も「今は20秒41が(自己)ベストだけど、200mもそんなものではないと思う。世界で戦うためには2種目とも走れる選手にならなくてはいけないと思う」と話し、6月20日からの全日本学生個人選手権では20秒29の日本ジュニア記録更新を狙って200mに出場。7月の世界ジュニアでは2種目に挑戦する意欲を見せている。

 さらに「リオデジャネイロ五輪には2種目で挑戦したい」と話している山縣は、腰の状態が思わしくなくすぐには挑戦できない状態だが「関東インカレで桐生が10秒05を出したのを見て、自分と何が違うか考えました。スタートではそれほど差がつかないし、後半をリラックスして走ることも覚えている。だから差は中盤の加速だと思い、坂道ダッシュなどをしてそこを強化してきた。追いついて来れたといったら負けを前提にしているみたいで嫌だけど、0秒05差に出来たと言うのはその効果が少し出てきているのだと思う」と桐生の強さを認めながら、まずは100mで切磋琢磨することでレベルアップを狙う。

 そんな上向きな状況にある男子短距離だが、伊東部長は第1回世界リレー選手権を経験し「来年はリオデジャネイロ五輪の出場枠がかかる大会。今回失敗したアメリカや作戦ミスをしたフランスなど、各国はさらに対策を考えて力を入れてくるはず。それに対して日本はまだ戦略不足だと思う。もし来年五輪出場権を獲得できなければ、時差との戦いながらヨーロッパなどで戦わなければいけなくなることもあるから、技術云々よりももっと世界の情報を集めてその流れに乗らなければいけないと思う」と危機感を持つ。

 その為にも各選手やコーチ、日本陸連がリレーで勝負するという意識をこれまで以上に高くしなければいけないが、その第一歩が9月末からのアジア大会であるのは間違いないだろう。選手やスタッフなどが周囲まで巻き込んで、急激に力をつけている中国や中東勢を相手に圧勝しなければいけないというまでの気迫で臨むこと。それこそが来年以降の世界選手権や五輪へとつながるものになるはずだ。

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