多くの人を惹きつける全盲のランナー唐澤剣也。「数百人いるチーム」で銀メダルをつかんだ (4ページ目)
また、「5000mは金メダルを目標にしていたし、1500mもメダルを逃してしまったので、両種目ともまだ課題があるなと感じた。もっと持ちタイムをあげ、スピード持久力もつけたい」と、さらなる成長を誓った。
唐澤の挑戦を間近で見守ってきた星野コーチは、「今回は『上出来』と思っている。練習すらしていなかった選手が5年でメダルを獲得するなんて、当時は思ってもいなかった。だが、5000m決勝、1500m予選、決勝と3本のレースをきっちり走りきったことに感動している。人間、やればできるんだなと思った」と愛弟子を称えた。
このすばらしい結果をもたらしたのは、彼自身の努力はもちろんのこと、前述のとおり周りの協力も大きかったと星野コーチは振り返った。
「今では1カ月間、日替わりでもできるくらいの人数」となった伴走者たちに加え、道路など練習環境の整備などで群馬県や前橋市の協力もあった。「地域が、唐澤のために動いてくれた。数百人のチームメートがいるのではと思っている」
初挑戦の夢舞台を終え、唐澤は改めて多くの人の支えに対し、感謝を述べた。
「一般に陸上は個人競技のイメージがありますが、視覚障害の選手はガイドランナーと走る。陸上競技を初めて競技歴も浅い僕が1人で走ったら、全然、力のない選手だが、ガイド2人の経験や力も含めて、チームとして戦える。心強い存在と一緒に臨めるのが、この競技の強みと思っています」
唐澤はこれからも、大勢の二人三脚で世界の舞台を駆けていく。
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