作家・阿部暁子が車いすテニス・大谷桃子に聞く「アスリートの心の強さ」 (3ページ目)
昨年の全仏オープン決勝で上地結衣選手(右)と戦った大谷桃子選手(左) photo by PRESSE SPORTS/AFLO大谷 阿部先生にお聞きしてみたかったのですが、小説というひとつの作品はどういう流れで作っていくんですか?
阿部 最初のアイデアというか、思いつきでぽんと種みたいなものが生まれて、そこからネチネチと考えて、枝葉を広げて、ストーリーを作っていく感じです。『パラ・スター』を通して、私は車いすテニスと車いすが大好きになっちゃったんです。好きって思うと、「書きたい!」 となります。そういう原動力があると、ストーリーを発展させていける。まだ貯蔵庫に入れたままになっている種もいっぱいあります。
大谷 私も今は好きで車いすテニスをしているので、すごくわかります。この作品にも阿部先生にも共感できるところが本当にたくさんありますね。もうひとつ、実は対談が決まってからずっと先生に聞きたいことがあったんです。宝良ちゃんのテニス人生や心情の描写が「自分だ」と思ったんですけど......。
阿部 そうなんです......、実は大谷選手を宝良のモデルにさせてもらっています。
大谷 そうなんですね! やったぁ! すごくうれしいです。
阿部 個人的に遠くから見つめていただけなんですけど、大谷選手はこういう性格なのかなとか勝手に想像して。本当にすみません!
大谷 とんでもないです! 今日、阿部さんに聞くか迷っていたんです。行きつけの整骨院とかあちこちに本を持って行って、ページを開いて「ここ、自分に似ているんだけど、モデルは自分ですかって聞いてみていいですかね」って相談したりしていました(笑)。
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