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作家・阿部暁子が車いすテニス・大谷桃子に聞く「アスリートの心の強さ」 (2ページ目)

  • 荒木美晴●構成・文 text by Araki Miharu

阿部 そうなんですね! 『パラ・スター』ではダブルスをどう書けばいいか皆目わからなくて、今回できなかったんです。ダブルスの戦い方でシングルスと違うことや、気をつけていることってあるんでしょうか。

大谷 上地選手は私の目標で、すごく尊敬している先輩です。今年の全豪オープンでもペアを組むことになって、「本音で話してほしい」と言ってくれていたのに、まだ自分から「こう思うんですけど」となかなか言い出せなくて......。

阿部 なるほど。たとえがおかしいかもしれませんが、私だって京極夏彦先生に物申せと言われても「無理!」 って思います。でも、そこで本音でしゃべってと言ってくれる上地選手も格好いいですね。

大谷 そうなんです。ドロー(組み合わせ)発表があるまでは、ペアの選手とシングルスの1回戦で当たる可能性もあって、どこまで本音で話して自分の状態を伝えていいのだろう、という難しさはあります。全豪の時も、どうすべきか......と探っていたら、言わないっていう選択肢になっちゃって。そこがいま一番の課題です。

阿部 なるほど。逆に国枝選手や上地選手にはトップ選手ならではの悩みがあるかもしれませんね。一度話を聞いてみたいですね。

■主人公・宝良のモデルは実は......!?

―― 『パラ・スター』では、<side百花>の主人公・百花が新米エンジニアとして、また親友として宝良をサポートしていきます。大谷選手にとって心の支えとなっている人はいますか?

大谷 古賀雅博コーチがそのようなポジションにいてくれます。コートを離れたらマネージャーであり、時には友達のように話を聞いてくれたり。逆にコーチだから車いすテニスの悩みが言えないという場面も出てくるんですが、一方で友達感覚でちょっと話してみたら、すぐに解決したこともありました。私は車いす生活になったあとに引きこもりを半年ほどしていたので、それを外に出してくれる百花のような友達がいたらよかったなとすごく思いました。

阿部 私も知っている作家さんはいるけれど、まぶしくてニヤける存在でしかないので、仕事のことでしゃべれる相手ってあまりいないんです。そんな時は担当編集さんが助けてくれるので、大谷選手のコーチの話を聞いて、すごく共感しました。

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