東京パラ、マラソンのメダル候補。37歳新星・永田務は「劣等感が強み」
「彗星のごとく」という喩(たと)えがぴったりかもしれない。東京パラリンピックのマラソン・男子T46(上肢障害)の代表に内定した永田務(新潟県身体障害者団体連合会)のことだ。同クラスでのマラソン日本代表は史上初となる。
びわ湖マラソンの一発勝負で見事パラリンピックへの夢を掴んだ永田務選手 今年2月下旬、初めてパラアスリートとして走った公認マラソンレース、第76回びわ湖毎日マラソン大会(滋賀県大津市)で、永田はT46のアジア新となる2時間25分23秒をマークした。この記録が4月1日で締め切られた「東京パラリンピックマラソン出場基準24カ月ランキング(※)」で2位にランクされ、6位以内の規定をクリアして代表内定をつかんだのだ。
(※2019年4月1日~2021年4月1日内/5月10日発表)
一躍、メダル候補に名乗りを上げる快走した永田だが、レース直後は悔しさをにじませていた。2時間23分を切って自己ベスト更新」という目標を果たせなかったからだ。
「悔しい思いしかなかった。ふがいなさに涙が出た。このままでは終われないという、次に向けての涙です」
永田より上位にいる、世界ランキング1位のオーストラリア人選手の持ちタイムは世界記録の2時間19分33秒であり、「少しずつでも、差を縮めていきたい」と、目標は高く、明確だ。
ランニング歴は20年以上を数えるが、パラアスリートとして世界最高峰への挑戦権を得るまでには、紆余曲折があった。
「走ることをやめようと思ったことは一度もない。次々に新たな目標ができる。自称、日本一あきらめない男なんです」
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