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車いすテニス、国枝慎吾が3連覇と
上地結衣が初V。東京パラ出場権を獲得 (3ページ目)

  • 荒木美晴●取材・文 text by Araki Miharu
  • 植原義晴●写真 photo by Uehara Yoshiharu

ケガから復帰して、3大会連続で優勝を果たした国枝慎吾ケガから復帰して、3大会連続で優勝を果たした国枝慎吾「完全に今日に合わせて、最初からエンジン全開でいけた」とは国枝。実は前日まではフォアもバックもショットがぶれていたといい、「今週は今年一番、プレー内容が悪かった」と明かす。ここ2日間は、今年4月から師事する日本にいる岩見亮コーチと、オーストラリアにいるメンタルトレーナーのアン・クイン氏と密に連絡を取って原因を探り、当日になって解決策を見出すことができたという。「ぎりぎり間に合い、ショットの打点を修正できた。"チームの勝利"です」と振り返る。

 一方、眞田は4年前と同じ銀メダルを獲得し、「アジアの中で強さを証明できたことは誇りに思う」とコメント。プレーについては「ずっとオフェンシブに攻撃できたけれど、国枝選手のディフェンシブな戦い方を打ち破れなかったのが敗因。暑さが厳しく、日が暮れて見にくくなるなか、あれだけ走って、つなぎ続けた国枝選手に完敗だった」と話し、課題をきっちりと修正してきた王者に脱帽した。

 右肘のケガの影響でリオパラリンピックでは表彰台を逃した国枝。その後も長期休養を余儀なくされ、「あの時は何度も、"もう終わりだ"と、心の中で思っていた」。2年後にこうして東京パラの出場権を獲ることなど、想像すらできなかったという。その苦悩の日々を救ったもの、それがバックハンドだった。昨年4月に復帰し、肘に負担のかかりにくいバックハンドの打ち方の改造を完全にやりきったことで痛みから解放され、風向きが変わった。同時にラケットや車いすのバケットシートなども刷新していき、今年1月の全豪オープンでは3年ぶりに頂点に立った。

 現在は岩見コーチとともに、ネットプレーに力を入れ、より攻撃的なテニスに取り組む。来季は、2016年からシングルスが開催されるようになってからまだ優勝のないウィンブルドン制覇が最大のターゲットだ。

「車いすテニスのツアーを一般と同じように発展させたいし、価値を高めていきたい」

 世界のトップ選手が集結するグランドスラムのタイトルを獲りながら、2020年を目指していくつもりだ。

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