車いす陸上短距離の超人。
パラ7回出場の永尾嘉章氏が、ついに引退宣言 (5ページ目)
選手時代は特別にコーチをつけず、ソウルパラリンピックのスラローム金メダリストで妻の由美さんが作ったメニューをベースに、ひとり黙々と練習を重ねてきた。すべて自分で管理し、工夫を凝らし、疑問から逃げずに、コツコツと走りを追求してきたその経験は、指導者として選手一人ひとりに向き合う上で、大いに生かされているという。
「もしかしたら、こういう新しい扉を開くために必死に現役をやってきたのかもね。これから先の人生を有意義に過ごすための準備期間っていうか......」と笑う永尾さん。
「パラリンピックはね、苦しいけれど、やっぱり特別で素晴らしい場所。それをぜひ後輩たちに伝えていきたいし、経験してもらいたい。コーチとして、その最高峰の舞台でメダルを獲れる選手を育てていきたいと思っています」
永尾さんの陸上人生は、関わり方を変えながら、これからも続いていく――。
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