フェアな勝負とは? パラスポーツにおける「クラス分け」を考える
大分中村病院理事長・中村太郎インタビューVol.2
パラスポーツでは、障がいの重さや運動機能のレベルに応じて、クラス分けを行なっている。そういったクラス分けを中村太郎氏は、パラリンピックのチームドクターとして、また、パラリンピック以外の様々な大会で行なってきた。クラスを減らして行くこと、逆にクラスを細分化すること、どちらもパラスポーツにとって大きな意味がある。パラスポーツの課題のひとつ"クラス分け"について語ってもらった。
(インタビューVol.1はこちら)
パラスポーツにとって非常に重要なクラス分けについて語った中村太郎氏伊藤数子(以下、伊藤) 「オリンピックとパラリンピックをひとつに」という意見が一部にありますが、それを現実的に考えたとき、どういった課題があると思いますか?
中村太郎(以下、中村) 一緒にやるという時に、クラス分けをどこまでやるかですよね。障がいがない人と下肢に麻痺がある人とのクラスを分けてやるのか、本当に同じルールで同じスタートラインで100mを走るならば、車椅子以外だと、よほどのことがない限り障がいのない人たちが速いですよね。
伊藤 そうなりますよね。それに加えて、メダルの価値という部分も課題になってきますよね。それを踏まえて、今はパラリンピックのクラスをだんだん少なくしようという考えもあると聞きました。
中村 オリンピックなら、100m男子の金メダル1個なんですが、パラリンピックは100m男子だけで、十数個になります。障がいのない人と障がいのある人を考えると、障害のある人のほうが少ないですよね。そこからさらに障がいの重さで分けていくので、すごく少ない人数の中のメダリストということになります。そう考えると、オリンピックとパラリンピックを一緒にしたときに、メダルの価値が同じなのかという議論があるわけです。
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