2015.03.25

冬季パラスポーツ日本の現状。世界王者・鈴木猛史が持つ危機感

  • 取材・文●斎藤寿子 text by Saito Hisako
  • 写真●越智貴雄 photo by Ochi Takao

 3月21日から4日間にわたり、白馬で行なわれたIPC()公認2015ジャパンパラアルペンスキー競技大会。その2日目、会場内に衝撃が走った。その日実施された種目は回転(スラローム)。大方の予想では、男子座位ではこの種目の”スペシャリスト”と呼ばれる鈴木猛史(駿河台大職員)の優勝は堅いと見られていた。実際、回転では2014年ソチパラリンピックでの金メダル獲得に続いて、今シーズンはW杯で年間総合ランキング1位となっている。さらに2年に一度の世界選手権でも優勝と絶好調。本人もまた、優勝以外は考えていなかったに違いない。
※国際パラリンピック委員会(International Paralympic Committee)

ソチパラリンピックでは金メダル獲得の活躍をした鈴木猛史 ところが、1本目のゴール手前でコースアウト。優勝どころか、2本目に進むことさえできずに終わってしまったのだ。果たして、鈴木に何が起きたのか――。

 前日の大回転でジャパンパラでは久しぶりの優勝を飾り、幸先いいスタートを切った鈴木は2日目、大本命とも言える回転に臨んだ。守る気持ちはなかったという鈴木は、1本目から気合いがみなぎっていた。だが、それがいつもの”儀式”を失わせていた。

 ソチパラリンピック直前のインタビューで、鈴木はこう語っている。

「スタートを切る直前、いつも笑顔をつくるようにしているんです。その方がリラックスして滑ることができ、結果にもつながる。だからソチでも笑顔でスタートを切りたいと思います」