【ミラノオリンピック】髙木美帆頼みからの脱却へ 日本スピードスケートが迎えた転換期「新たな日本らしさを作っていく」 (3ページ目)
【改める強化の方向性】
4位以下の入賞は、春先に頬を骨折した新濱立也(高崎健康福祉大職)の男子500m6位と、女子1000mの山田梨央(直富商事)が初五輪ながらの7位、男子チームパシュートがW杯総合8位で権利を得て出場し、本番でも8位。そして髙木の1500mの6位の4つだった。髙木がいなくなった場合を考えると不安が大きくなる。
その状況を打開する道を、湯田部長はこう話す。
「同じことをやっているだけなら、(世界に)追いつかないと思います。平昌五輪の成功(メダル6個、4位以下入賞9)はインパクトが強いですが、あれはオランダ流のトレーニング導入の成果で、フィジカル重視でメンタリティを強くするという、日本が不足していた部分を補いながら力をつけてきました。
でも、北京あたりではそれも頭打ち状態になっていて、男子はフィジカルをやりきった感があって、それでも世界に届かないというところがありました。
打破する道を、僕は『動き』だと思っています。技術的な部分を付加しないと追いつけない。オランダでは『動き』を徹底してやっていますし、しかも日本の特徴だった低重心のフォームを意識しているそうです。日本もそういうところの見直しと、ショートトラックとの融合で新たな日本らしさを作っていく必要があると思います」
日本のスピードスケートが復活するために必要な条件は、湯田部長も話したように新たな強化スタイルを明確にし、それをナショナルチームが中心になって徹底的に実践していくこと。ほかにはナショナルチームが、再び求心力を取り戻す必要もあるだろう。
選手として2006年トリノ五輪で4位入賞をしている及川コーチは、今回の五輪でこんなことを感じていた。
「毎回、オリンピックで感じるのは、会場が新しいリンクや仮設リンクになるなかでも、オランダチーム(今回はメダル13個)は、滑りなどを確実にフィットさせてくること。『どうやってるのかな』と思って見ています。
選手が体を一生懸命作って心も準備していても、スケートが滑らないと勝てるものも勝てなくなってしまう。今回もジョーダン・ストルツ(アメリカ)のように突き抜けている選手はやはり強かったですが、ほかの北米選手は高速リンクで滑ることが多いためか、ヨーロッパの低地リンクに手こずって個人種目は結果が伴わない選手が多かったです。今回は、アジア開催だった北京と平昌の短距離で、いい結果を出したアジア勢も振るわなかったので、そういう部分でも対策が必要かなと思います」
ナショナルチームとしての強化方針確立と、本番へ向けての対策を改善していくこと。このふたつがこれからの日本のスピードスケートには必要になってくる。
著者プロフィール
折山淑美 (おりやま・としみ)
スポーツジャーナリスト。1953年、長野県生まれ。1992年のバルセロナ大会から五輪取材を始め、夏季・冬季ともに多数の大会をリポートしている。フィギュアスケート取材は1994年リレハンメル五輪からスタートし、2010年代はシニアデビュー後の羽生結弦の歩みを丹念に追う。
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