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【ミラノオリンピック】髙木美帆頼みからの脱却へ 日本スピードスケートが迎えた転換期「新たな日本らしさを作っていく」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Toshimi Oriyama

【オリンピックでの現場対応は正解だった?】

 オリンピックの現場で練習や試合を見ていて気になったのは、今季のW杯500mの第1戦で3位に入り、第7戦では優勝して一躍メダル候補に浮上していた吉田雪乃(寿広)の様子だった。代表の担当コーチはいるものの、ほかのメンバーたちと比べて少し孤立しているように見えたことだ。

 その理由のひとつとして吉田の場合は、昨季の結果から今季の特別強化指定選手を逃していたことが挙げられる。

 湯田部長は「特別強化選手になっていれば、パーソナルコーチの帯同も受け入れられましたが、それはできませんでした。2014年ソチ五輪後に設定した国際水準に達していることが、特別強化選手の条件になるため、その基準を緩めたらチームは一気に弱体化してしまいます。彼女に対しても基準を下げて甘い世界を見せるのではなく、自分でつかみ取るんだという厳しい世界を感じ取ってまた高みに登って欲しいと思っていました」と説明する。

 吉田を指導する及川佑コーチはミラノでの状況をこう振り返る。

「ホテルを用意してもらい、陸上トレーニングや食事などは吉田とともに行動できたのですが、試合以外でリンクに入れなかったので、氷上練習は連盟から映像をもらい、トレーナーを含めて体の状況や滑りで気になることを次の日にやるという状態でした。その結果、僕自身がリンクの特徴を把握しきれませんでした。

『(リンクの)下が空洞で今までに聞いたことのない音がする』と聞いて、どういうことだろうと思っていたのですが、本番でリンクに入って音を聞いて『あ、なるほどな』と思ったり......。(いつもの)練習では一緒に滑るので、僕自身の感覚や氷のフィット感などを伝えながらやっていますが、それができなかったのはちょっと大きいかなとは思います」

 吉田は最初の1000mでは「ガチガチになって自分の持ち味をひとつも出せなかった」と16位に終わり、500mも「大丈夫だと自分をだますような気持ちで滑りましたが、体がついてこなかった」と13位に終わった。

 それを見れば基準厳守も重要ではあるが、数少ないメダル候補で初出場だっただけに、もう少し配慮があってもよかったとも思える。

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