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【ミラノオリンピック】「これぞフィギュアスケート」という光景も 大会を取材のこぼれ話で振り返る (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Yoshiyuki Komiya

【高木美帆「解放感はありますが......」】

2月19日

 フィギュアスケート、女子シングルのフリーは、応援の密度が大会で最高だったかもしれない。フィギュアスケートの現場の特徴は、失敗した選手への熱い激励だろう。決して責めることはなく、慈悲深く、共感や友愛に満ち、胸を熱くさせる。たとえばサッカーなどは悪意、憎悪、虚栄心のなかにある一滴の真実を探し求めるスポーツで、試合会場の空気はまるで違う。

 4番手に登場したスイスのキミー・レポンドは女優然とした風貌で、左利きのままジャンプを跳んだが、冒頭2本のジャンプで失敗し、気落ちした様子を見せる。しかし観客の激励で立て直し、その後はジャンプを成功させ続けた。これぞフィギュアスケート、という光景だった。

2月22日

 ベローナでの閉会式の映像がテレビで流れている。走馬灯ではないが、大会取材のさまざまな場面が疲れた頭に去来する。フィギュアスケート団体の戦いは熱かった。ふだんは個人戦の選手たちが「国を背負って」戦う醍醐味があり、共闘でつかんだ日本の銀メダルは誇るべきだった。女子アイスホッケーは輪島夢叶(ゆめか)選手を中心に追いかけ、メダルには届かなかったが、氷上の格闘技はスペクタクルだった。

 フィギュアスケート男子シングルでは、王者イリア・マリニンがまさかのブレーキで、鍵山優真、佐藤駿が勇躍してメダルをともに勝ち取り、三浦佳生も次につながるフリーの演技だった。ペアのりくりゅうの逆転・金は大会の華だった。女子シングルは坂本花織がラストダンスで銀メダル、17歳の新星・中井亜美は銅メダル、20歳の千葉百音も4位に入り、時代の変わり目を感じさせた。アリサ・リュウ、アンバー・グレンも役者だった。

 記憶に残る風景は尽きないが、最後はスピードスケートでオリンピック通算10個のメダルを勝ち取った髙木美帆がメダリスト会見で語っていた言葉で締めくくりたい。

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