【ミラノ五輪】カーリング女子日本代表の吉村紗也香、人生の半分を挑戦に費やした彼女の不屈の精神が本当に結実する日 (3ページ目)
ちょうどその時期、小野寺が「さや(吉村)が、自分のことをたくさん話してくれるようになりました」と言っていたことがある。そうした変化は、吉村自身も認めている。
「以前は、プレッシャーなどがあってもそれに気づかないというか、いつもどおりに振る舞おうと思っていた気がします。でも、たとえば大事なショットの前に、チームメイトに『私、今緊張しているかも』と伝えると、『それが普通だよ』とか『大丈夫、私も(緊張)してるから』とか言ってもらえて、気持ちがラクになったんです。自分がわかっていれば、緊張は決して悪いことではないと思えるようになりました」
そして、これまでの苦労や悔しさの連続を糧とし、出産を経て、メンタルトレーニングなどの成果が結実したのが、2025年2月の日本選手権優勝であり、9月の日本代表決定戦だったかもしれない。
代表決定戦では、いきなり2連敗を喫して崖っぷちに追い込まれたが、「自分が決めきれない悔しい気持ちをミーティングで吐き出して、いい切り替えになりました」と吉村。そこから粘り強さを発揮して、代表の座を勝ち取った。
五輪出場を決めた世界最終予選のノルウェー戦の朝も、吉村は「緊張してました」と言う。
「ご飯とかも全然喉を通らなくて......。とりあえず、餅を食べたからいいかと思って」
朝にコーヒーを飲むことが多いというが、それも、右手の親指と人差し指で「少し」というジェスチャーを見せながら、「これぐらいしか飲めなくて......」と吉村。
「まあでも、ちょっとくらい食べなくても死なないし。そういった気持ちが味わえるのも自分たちだけなので、それも楽しみながらやろうと」
自己分析と、いい意味での開き直りは、間違いなくこの4年間で吉村が作り上げたメンタルだ。無論、五輪への道も、ブレず、折れず、腐らずに挑戦をやめなかった彼女でしか、拓くことはできなかっただろう。
現地時間2月12日、ミラノ・コルティナ五輪ではいよいよカーリング女子のラウンドロビン(総当たりの予選リーグ)が始まる。日本の初戦の相手は、北京五輪銅メダル、平昌五輪金メダルのスウェーデンだ。
「緊張はすると思います。でもそれを『私、緊張しているな。よしよし』と思って試合をすると思います。始まってしまえば、たくさん考えることがあるから自然に集中できるんです」
人生のちょうど半分を挑戦に費やし、なかなか勝てなかったからこそ手に入れることができた武器を身につけた吉村。彼女が率いるフォルティウスの集大成に注目である。
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