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【ミラノ五輪】小林陵侑はアジアの「怪物」? オリンピックを現地マスコミはどう報じているか (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Yoshiyuki Komiya

【縁遠くなったウィンタースポーツ】

 とにかくスポーツ報道はカルチョ一色である。たとえばコッリエレは全39ページで29ページがカルチョ。ミラノ・コルティナ五輪は3ページにすぎなかった(日本では基本的に野球に多く誌面が割かれるが、ここまで極端ではないだろう)。ガゼッタは27ページがカルチョで、6ページが五輪関連なので、ややバランスは取れていた。

「だって、カルチョ以外は売れないから」

 キオスクの年配の女性販売員はあけすけに語ったが、ウィンタースポーツでは売り上げの計算が立たないのだ。

 もっとも、イタリアはウィンタースポーツの強国である。2022年北京五輪のメダル獲得数は、日本とほとんど変わらない(イタリアが17個、日本が18個)。今回、ショートトラックに出場する35歳アリアナ・フォンタナは同国史上最多11個のメダルを獲得し、さらにその数を増やそうとしている。メディアはアルペンスキーのドミニク・パリス、ジョバンニ・フランツォーニ、フェデリカ・ブリニョネ、ソフィア・ゴッジャの男女4人を「ファンタスティック4」と称して盛り上げる。だが......。

「ウィンタースポーツの選手はマイナーだよね」

 スポーツ紙を手に持ったままタクシーに乗り込むと、運転手が気安く話しかけてきた。

「数十年前まで、イタリア人はもっと普通にウィンタースポーツを楽しんでいたんだ。やるのも、見るのも、身近だった。でも、いまはウィンタースポーツをやる人は特定の人になった。とてもお金のかかるスポーツになってしまい、限られた富裕層のスポーツになって、親近感が湧かないんだ」

 なるほど、それは報道も苦労するだろう。興味がない、とシャッターを下ろしてしまう人を引き込むのは難しい。

 3紙のなかでは一番、オリンピック報道に熱いガゼッタは、開会式当日の号に、公式ガイドと一緒に、同国最多の3つの金メダルを勝ち取った伝説的アルペンスキーヤー、アルベルト・トンバの自伝を付録としてつけることを宣伝していた。日本でも有名なトンバをアイコンにするのはわからないではない。しかし、それはウィンタースポーツが盛んだった時期のスーパースターということか。

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