パリオリンピック 加納虹輝が出場するフェンシング男子エペ団体、女子フルーレ団体を東京五輪金メダリストが展望 (3ページ目)

  • 宇山賢●文 text by Uyama Satoru

【男子エペ団体は連覇に期待も「優勝国を予想しにくい」】

 私も3年前はチームの一員として戦い、金メダルを獲得したエペ団体は、東京五輪にも出場した加納選手、山田優選手、見延和靖選手に、古俣聖(こまた・あきら)選手を加えた4名で臨みます。

 私以外は金メダルを獲得した東京五輪と同じ顔ぶれなので、前回同様の好成績を期待される方が多いと思います。私も心から連覇を願っていますが、男子エペ団体はフェンシング競技のなかでも特に優勝国を予想しにくい種目です。

 勝利を手繰り寄せるためには試合序盤の戦略や、個々のメンタルを含めたパフォーマンス、そして勝ちをもぎ取る覚悟が試されることになると思います。

 予想するとすれば、準々決勝でベネズエラと戦ったあと、準決勝では昨年12月のワールドカップ(カナダ・バンクーバー)で勝利を収めているイタリアと、決勝まで進むことができたら開催国のフランスと戦うことになるのではないかと思います。

 フランスは東京五輪の準々決勝で対戦し、日本が加納選手の活躍で追いついて1分間1本勝負の延長戦で勝利した相手です。彼らは今回、大歓声が響く会場グラン・パレでのリベンジを狙っているでしょう。日本チームは前チャンピオンとして臨むのではなく、チャレンジャーとして点数をつないでいってほしいです。

<団体戦で対戦する国との、ここ1年の戦績>

2024年5月W杯(フランス・サンモール) フランス44-43○

2023年12月W杯 (カナダ・バンクーバー) イタリア32-27○

2023年11月W杯(スイス・ベルン) フランス35-45● 

【団体メンバー4人の特徴と期待】

 日本チームのエースは、日本フェンシング界として初となる、個人種目で金メダルを獲得した加納選手。個人戦では圧倒的な強さを見せつけ、観客からスタンディングオベーションで祝福されました。団体戦では1番手として大きな期待が寄せられますが、焦ることなくいつもどおりの強さを見せてほしいです。

 そして2番手は、チーム最年長の37歳で、キャプテンとしてチームを牽引する見延選手です。東京五輪後は2022年の世界選手権で史上初の個人銀メダルを獲得。その後の国際大会では、何度もベスト8に進出するなど安定した結果を残し、健在ぶりを示しました。年齢によるフィジカル面の課題を、技術や戦術でどのようにカバーするのか。ベテランならではのプレーに期待がかかります。

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