パリオリンピック 加納虹輝が出場するフェンシング男子エペ団体、女子フルーレ団体を東京五輪金メダリストが展望 (2ページ目)

  • 宇山賢●文 text by Uyama Satoru

 それに続くのが、走力を生かし、矢のように前に飛び出して攻撃する「フレッシュ」を持ち味とする宮脇選手。「フレッシュ」は男子エペの加納選手も得意としており、相手との距離を一瞬で詰めることができる点が長所。ただ、相手に攻撃を避けられてしまうと不利な状況に追いやられるリスクもあるので、相手の隙をつく観察力が求められます。

 そして交代選手として控えるのが、力強いアタックを武器とする菊池選手。チーム唯一の左利きで、攻守で力を発揮できる菊池選手が控えていることにより、チーム戦略の幅が広がり、試合の流れに変化をつけることが可能になります。東京五輪出場を逃した悔しさを、3年越しの晴れ舞台でぶつけてほしいです。

【粘り強い戦いに期待】

 個人戦では残念ながら実力を発揮できませんでしたが、成熟期を迎えたチームのメダル獲得は不可能ではありません。全員の実力を出し切れたら十分に射程圏内です。

 ただ、初戦となる準々決勝のポーランド戦は僅差の戦いになりそうです。今年1月にパリで行なわれたワールドカップの3位決定戦でも41-44で敗れています。そのポーランドに勝利しても厳しい戦いは続きます。準決勝で対戦する可能性が高いイタリアとは分が悪く、この1年で5連敗。メダル獲得を目指す日本チームにとって高い壁となりそうです。

 イタリアに勝利できたら、アメリカ(過去1年間で1勝1敗)、もしくは前回2位の開催国フランス(過去1年間で1勝0敗)に挑むことになるでしょう。2カ国とも東京五輪では日本を上回る成績を残しており、楽に勝てる相手ではありませんが、日本はいずれのチームにも勝利しています。選手それぞれの長所を活かしながら、粘り強く戦ってほしいです

<団体戦で対戦する国との、ここ1年の戦績>

2024年3月W杯(ジョージア・トビリシ) イタリア34-45●、アメリカ39-45●

2024年2月W杯(エジプト・カイロ) イタリア36-45●、フランス30-27○

2024年1月W杯 (フランス・パリ) イタリア31-45●、ポーランド44-41●

2023年12月W杯(セルビア・ノビサド)イタリア31-45●

2023年7月 世界選手権 (イタリア・ミラノ) イタリア30-43● アメリカ45-34○

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