競輪、競泳で共通する招集所の雰囲気 柳原真緒が「めちゃくちゃ迷惑」と爆笑した伊藤華英の駆け引きとは (2ページ目)
【レース前の駆け引き】
伊藤 競輪場の裏側はなかなか私たちにとってはわからない部分が多いのですが、レース前はどんな雰囲気なのでしょうか。
柳原 招集所があって、そこに20~25分くらい前に行くことになっています。出走する7選手がそこでそろうんですが、よくしゃべる選手と、まったくしゃべらない選手に分かれますね。
伊藤 それは競泳と同じなんですね。私はずっとしゃべっているほうでした(笑)。
柳原 自分は逆でずっとヘッドフォンをして集中しているほうです。
伊藤 私はみんなに「どんなレースをするの?」と聞いてリサーチしていました。最初、背泳ぎをやっていたんですけど、招集所はいつもにぎやかだったんですね。それから私は自由形に転向したんですけど、そうしたら自由形の招集所がにぎやかになって、逆に背泳ぎが静かになったと(笑)。自由形の後輩からは「華英さん、しゃべりすぎ」と言われました(笑)
柳原 めちゃくちゃ迷惑(爆笑)。
伊藤 私は意図的に話しかけていて、勝つためには大事なことだなと感じていました。周りの選手に「前半は何秒で行くの?」などと聞きながら、自分がどうレースをするか決めていました。そういう会話が嫌な選手は、ギリギリに来ていましたね。
――逆に柳原選手が周りに声を掛ける側に回ることはあるんですか。
柳原 レース直前ではなくて、開催1日前の前検日から、周りの選手に話しかけるように心掛けています。その時にはなるべく自分が上に立つような会話にしようと思っています。相手のペースで会話が進むと、レースでもその選手のペースになってしまうことがありますので。
伊藤 そういうはありますね。レースに向けての駆け引きは本当に大変です。
柳原 発する言葉で調子を読み取ったりもしますよね。この選手は、今回ちょっと弱気だなとかがわかってきます。
伊藤 いろいろな駆け引きがありますよね。相手が質問してきても、素直に答えないようにするとか。
柳原 調子が悪い時に、調子よく見せる方法はあるんですか。
伊藤 普段どおりを装うことです。しゃべる量が減っていることを気づかされないようにすることはありましたね。
現役時代の経験を語る伊藤さん photo by Noto Sunao(a presto)この記事に関連する写真を見る
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