「ダメな人間だった」2年前のリベンジへ ガールズグランプリ出場の坂口楓華は「今が一番いい状態」と頂点を目指す (2ページ目)

  • ハル飯田●文 text by Haru Iida

【培ってきたリスペクトの精神】

ーー昨年から(元選手で現在は評論家として活躍する)市田佳寿浩さんの指導を受け、成績向上に繋がっています。

 市田さんの存在は(成長の要因として)一番大きいです。ひとりで取り組む練習メニューの内容もガラッと変わりましたし、選手としての心構えも勉強になっています。市田さんの下で練習している先輩を見ていると、向上心の塊だなと感じますし、そんな環境で練習させてもらえているのが光栄で、感謝してもしきれないくらいなので、結果で恩返しがしたいですね。

ーー年末の大一番であるグランプリへの出場は2021年以来2年ぶりになりますが、その頃の自身と比較して変化を感じる部分はどこでしょうか。

 メンタルと言うか、人間的な部分ですね。今は走っている間だけでなく自転車を降りてからも尊敬される"ちゃんとした人"を目指していて、一昨年の自分と比べると客観的に物事を見られるようになりました。立ち振る舞いも変わったと思いますし、落ち着いて全体を見られるようになったのが一番の成長だと思います。

人としての成長も見せる坂口 photo by Takahashi Manabu人としての成長も見せる坂口 photo by Takahashi Manabuこの記事に関連する写真を見るーーその変化はどういったきっかけだったのでしょうか。

 私は元から人間観察が好きで、ぼーっと周囲の人を見ていることが多かったんです。そうして他人と自分を照らし合わせながら、自分は周囲の人からどう見られているんだろうと考えてみた時に、もっと人間的に成長しないといけないと思ったんです。2年前は、今とは正反対なダメな人間でしたね。

ーー具体的に自分のどんな部分を「ダメな人間」と感じたのでしょうか。

 例えば、強い選手への嫉妬です。勝負の世界なので当たり前に存在する気持ちではあるんですが、そこに執着していると成長できないし、強い人を称えられるような人間にならないと上にはいけないと思ったんです。今は一緒に戦ってくれる選手を心から尊敬していますし、はっきり「尊敬している」と言えるようになったのも変化ですね。遠回りしましたが、自分を変えてここまで辿り着いたことが結果にも繋がっていると思います。

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