80歳現役を目指す石井寛子にとって「37歳はまだ赤ちゃん」 睡眠4時間の理由、知られざる暗闇の2年間を赤裸々に語る (2ページ目)
「きっと人よりも落ち込んでいると思います。1週間くらいは引きずるかな。(6月のGⅠ開催)パールカップ後も落ち込んで立ち直れないくらいになっていました」
自転車競技、ガールズケイリンで継続的に結果を残してきた石井にとって、1着は自分の存在意義を証明するための最高の結果だ。それだけに確固たる勝者のメンタリティーを持っているのかと思いきや、「かなりネガティブなんですよ。『自分は強い』と思えないんですね。『どうしよう、勝てるかな』という思いが強い」と意外な答えが返ってきた。
この思いが、石井を練習へと駆り立てる。
「オフは月に1日か2日。レースの次の日も朝9時から練習を入れたりしています。午前、午後とトレーニングをして、その後に体のケアを行なったら、帰宅するのが夜11時とか12時。睡眠時間は4時間ほどで、昼間に2時間ほど仮眠をとっています」
この短時間睡眠にも理由がある。レースの開催時間が、モーニング、日中、ナイト、ミッドナイトとさまざまあり、すべてのレースに対応するために、数時間でも深い睡眠がとれるようにしているという。まさにレースを軸に考えた日常だ。さらに練習メニューにもこだわりを見せる。
「練習の内容は毎年のように変化しています。常にアンテナを張って、新しいことを取り入れて、絶対に半年間はそれを続けてみる。それで合うか合わないかを見極めるというのを、ずっと繰り返しています。そのなかでも土台づくり、基礎トレーニングは欠かさずやっています」
この練習に対するあくなき探究心は、関わっている人数にも表れている。
「今はジムに3カ所通っているんですが、トレーナーさんが10人くらいいるんです。わからないこと、疑問に思ったことは全部質問しています。メンタルの相談もそうですし、ケガのケアもそう。レースでの反省点も聞いたりと、その方々に本当に助けてもらっています」
さらに石井は、押しも押されもせぬトップレーサーの一人でありながらも、先輩後輩関係なく、アドバイスを求めたり、疑問に思ったことを聞いたりしているという。自分にとって足りないところを常に探し続けるその姿勢が、強さを持続する理由の一つと言えるだろう。
「これまでにないポーズを取りたい」と石井。プロとして写真うつりにもこだわりを見せる photo by Hirose Hisayaこの記事に関連する写真を見る
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