80歳現役を目指す石井寛子にとって「37歳はまだ赤ちゃん」 睡眠4時間の理由、知られざる暗闇の2年間を赤裸々に語る (4ページ目)

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 またナショナルチームとの二刀流からガールズケイリン1本に絞ったことで、時間的にも心理的にも余裕が生まれ、徐々に周囲との距離が縮まっていった。毎年ガールズケイリンの門を叩く多種多様な経歴を持つ若手選手も、「暗闇のなかにいた」石井に光を注いでくれた。

辛かった自身の過去も包み隠さず語ってくれた photo by Hirose Hisaya辛かった自身の過去も包み隠さず語ってくれた photo by Hirose Hisayaこの記事に関連する写真を見る

 そんな石井は現在37歳。毎年のようにビッグレースで優勝しているため、年齢の壁を感じさせることはないが、本来であれば、年齢的な衰えを感じ始めてもいい年代。それを本人にストレートに問いかけてみると、意外にも声を弾ませて答え始めた。

「それをぜひ聞いてほしかったんですよ。私は80歳までやるつもりです。そう考えたときに、37歳ってまだ赤ちゃんじゃないですか。37歳できついと言っている場合じゃないんです」

 さらに「『まだやってるの、あの人』と言われたい」と白い歯を見せた。

 近年、ガールズグランプリ2023への出場を決めている児玉碧衣や佐藤水菜だけでなく、賞金ランキング上位の久米詩、尾方真生、吉川美穂ら、速くて強い選手が続々出てきている。しかし石井にとって、彼女たちの存在は関係ない。

「私は常にチャレンジャーでいたいから、その人たちの存在というよりは、自分がどうやったら勝てるかしか考えていません。勝つための方法には、絶対になにがしかの答えが存在するので、それを探しながら戦っていきたいです」

 世界と戦い、ガールズケイリンをけん引してきた石井。苦難の時期が訪れてもファンのためにと常に結果を出し続けてきた彼女は、すべての選手のお手本になるべき存在だ。ベテランの域に達しながらも、ガールズケイリン中心の生活を送り、チャレンジャー精神で1着を目指す、その走りは一見の価値がある。石井の背中からガールズケイリンに賭ける情熱をきっと感じることができるはずだ。

【Profile】
石井寛子(いしい・ひろこ)
1986年1月9日生まれ、埼玉県出身。中学時代は陸上に励み、高校から自転車競技を始める。大学1年からナショナルチームにも在籍。大学4年時にACCトラックアジアカップのケイリンで優勝する。数々の世界大会で活躍し、2013年にガールズケイリンデビュー。初年度からガールズ最優秀選手賞に輝き、2017年にはガールズグランプリで優勝を飾る。2022年にガールズケイリン史上初の500勝を達成した。

【画像】ガールズケイリン界を引っ張ってきた石井寛子

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