アジア大会2冠の佐藤水菜が圧巻の爆速でガールズグランプリ出場権獲得「ゾーンに入ったような感覚があった」 (2ページ目)

  • 小堀隆司●取材・文 text by Kohori Takashi
  • 高橋学●撮影 photo by Takahashi Manabu

 勝負が動いたのは、残り1周半となってから。仕掛けたのは、児玉だった。ペダルを踏む回転数を上げると、あっというまに先頭に立つ。このまま逃げ切るかと思った矢先、後方から猛烈なスピードで追い込んできたのが佐藤だった。

 日本代表が見せる異次元のスピードに観客がどよめく。最終ストレートで雨風を一気に切り裂き、佐藤の自転車が大きな水飛沫を上げてゴールすると、今度は「強い!」という驚嘆の声が漏れた。
先頭でゴールに入る佐藤(3番車・赤) 児玉(2番車・黒)は4着に先頭でゴールに入る佐藤(3番車・赤) 児玉(2番車・黒)は4着にこの記事に関連する写真を見る

【グランプリの切符を獲得】

 奮っていたのは、新女王の優勝コメントだ。

「雨で自転車が勝手に進んでしまったところがあったので、道中は落ち着いてコントロールしなきゃなと思ってました。でも、だからこそ、どこから行ってもいいと思ったし、どこからでも行けるなって。ゾーンに入ったような感覚は今日もありましたね」

 ふだんは屋内のバンクを主戦場としている選手が、激しい雨をものともせずに勝ちきったのだ。他を圧倒するスピードもさることながら、この研ぎ澄まされた感性こそが佐藤の武器であるのだろう。

 見せ場を作りながら、最後は4着に敗れた児玉も、ライバルの力をこう讃える。

「年間を通してガールズを盛り上げているのは私たちなので、ナショナルメンバーに(優勝を)獲らせたくなかったんですけどね。(ラストの)1周半(逃げ切るの)はキツかったです。でも、脚力があればああやってどこからでも1着が獲れるから、やっぱり脚力なんですよ。この3日間を通して、もっともっと強くなりたいなって思いました」

 今回の勝利で佐藤は、年末12月29日の立川競輪場で開催される『ガールズグランプリ2023』の出場権を手に入れた(GⅠ開催の優勝者3名、賞金獲得上位者など計7名が出場できる)。11月下旬には3つ目の新設G1開催『競輪祭女子王座戦』があり、いよいよ年間女王の座をかけた一発勝負のグランプリへとなだれ込んでいく。

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