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「桐生祥秀選手に見に来てほしい?」の質問に「まだダメ」 競輪デビューする「消えた天才」日吉克実の秘めた決意とは (3ページ目)

  • text by Sportiva
  • 高橋学●撮影 photo by Takahashi Manabu

 しかし結果は上々。3000m以外の3つの距離でA評価の基準をクリア。ここで日吉は大きな自信を手にする。そして3回目の記録会では、すべてA評価を獲得。晴れて卒業することができた。

 プロ選手として走る最初のレースは「競輪ルーキーシリーズ2023」。4月30日~5月2日の宇都宮競輪場、5月5日〜7日の四日市競輪場、5月26日〜28日の松戸競輪場、6月1日〜3日の福井競輪場のいくつかで走る予定だ。ここで初めて多くの競輪ファンの前でレースを行なうわけだが、日吉は結果を出すために、いくつかの課題を克服する必要があると考えている。

「(課題は)ダッシュ力です。陸上短距離をやっていたら、得意そうに見えますが、陸上の時もスタートは苦手だったんです。自転車までスタートが遅くて......。逆にそこをクリアできれば、ある程度勝負できるかなと思います。それから陸上はまっすぐにレーンを走りますが、自転車はまっすぐ走らない人ばかりなんで、そこも難しいですね。場数を踏まないといけないと思っています」

 もともと持っているポテンシャルは高いため、経験を積むことによって、大化けする可能性は大いにある。これまでは自分の立ち位置を理解していて、目標も控えめだったが、プロとして走る以上、何らかのインパクトは残したいと考えている。

「僕は性格的に大風呂敷を広げるタイプではないんですが、地元の記念(競輪)で優勝したいですね。静岡県には伊東と静岡のふたつの競輪場があって、そこで開催される記念で優勝するには、まずS級に上がらないといけない。そのうえで年2回のチャンスで勝つ。そして修善寺の顔になるような、長く愛される選手になりたいですね」

 S級は競輪のなかの上位クラスで全体の約3割が所属している。当然熾烈な競争を勝ち抜かなければならない。そのうえで、静岡県で開催される数少ない記念競輪で優勝する。狭き道だからこそ、地元に与えるインパクトは大きいだろう。

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