カーリング女子、世界でポテンシャルの高さを示した中部電力がさらに上に行くために必要なこと (2ページ目)

  • 竹田聡一郎●文 text by Takeda Soichiro
  • photo by (c)JCA

 加えて、試合前に先攻か後攻かを決めるために実施するラストストーンドロー(LSD)の改善も必要だろう。今大会で中部電力は全体の11位。棄権した最後の韓国戦は最大値を充てられてしまったが、それでも下位であることに変わりはないだろう。

 もちろん、相手もアイスも試合ごとに違うため、今回だけ悪かったという見方もできるが、昨年の日本選手権でも出場7チーム中5位という成績だった。中部電力にとって、大きな改善点であることは明らかだ。

 どんな大会であろうとも、LSDの重要度は変わらない。有利とされる後攻をしっかりと得てゲームのイニシアチブを握ることが、いかにポジティブなことか。LSDの強化はチームとして真摯に向き合うべきだろう。

 中部電力としては今後、これら露呈した課題をこれからどう修正していくかがポイントになるが、解決策のひとつとして、早期のポジションの固定が挙げられる。

 松村、鈴木、中嶋星奈はこれまでのキャリアで、リード、セカンド、サード、スキップあるいはフォースとすべてのポジションを経験してきたポリバレントなタレントだ。今大会でもそうだったが、3人とも器用ゆえ、与えられたポジションで最低限の仕事をこなすことができる。

 無論、国内で上位争いを演じて、世界でも中位レベルでそこそこ戦えればいい、というのであれば、そのままでいい。

 だが、さらに上、世界でも上位を狙っていくのであれば、それぞれの役割を明確にさせて、各選手が定まったポジションにおいて、最低限のレベルではなく、最大の力を発揮することが不可欠ではないか。そのためにも、各ポジションでのストロングポイントに特化して強化を進めていくべきだろう。

 世界選手権を振り返れば、4人でプレーすることができた最後の試合、ノルウェー戦の第10エンドでは、リードの石郷岡葉純が相手のガードをウィック(相手の石をアウトにならないように動かすこと)でいなしつつ、カマー(相手の石の後ろに隠れるショット)で強い石を作った。その後、鈴木、松村が完璧なクリアニングで北澤につないで、北澤がきっちりと仕留めて4点を奪うビッグエンドをモノにして勝利した。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る