代表コーチが語る競輪界の新星、中野慎詞と太田海也。大きな可能性を秘めた2人が世界水準になる条件とは
競輪デビュー後、15連勝の中野慎詞(左)と11連勝の太田海也 2021年12月に日本競輪選手養成所から早期卒業し、大きな注目と期待を集めている中野慎詞と太田海也。1月のプロデビュー後は、揃って優勝を重ね、中野は15連勝と記録を更新中で、太田は3月28日のレースで失格のため記録が止まったが、11連勝まで戦績を伸ばした。「ものが違う」「怪物」とまで言われるこの2人は、日本自転車競技連盟のナショナルチームの強化指定選手でもある。
「競輪」と「自転車競技」の両方で期待されるニュースターは、2024年パリ五輪を目標のひとつとして見据えている。彼らはそこで結果を残すために今後、どんな道を歩み、どう力を伸ばしていくべきなのだろうか。自転車トラック競技の日本ナショナルチーム短距離ヘッドコーチのジェイソン・ニブレット氏に2人の可能性を語ってもらった。
――中野慎詞選手、太田海也選手それぞれの印象を教えてください。
中野は日本競輪選手養成所に入る前からナショナルチームに入っていましたので、どんな選手かは知っていました。肉体的に強く、自転車の才能にあふれた選手です。養成所で学んだことで、総合的に優れた選手になってきたと思います。プロの競輪選手となり技術や戦略を今後さらに磨いていけば、さらなるステップアップが期待できます。
太田は養成所で優れた結果を残し、早期卒業しました。彼も才能にあふれた選手であることは間違いないのですが、自転車競技の経験が約2年で、いわば新人です。筋力の強さは大きな武器ですが、戦術、戦略の勉強が必要で、これからの1年間はそこをしっかり教え込んでいきたいと考えています。
――2人とも競輪デビューし、中野選手は15連勝、太田選手は11連勝と、順調に勝利を重ねてきました。ニブレットコーチは彼らのプロでの走りをどうご覧になっていますか。
確かに今は勝っていますが、ずっと勝ち続けることはもちろんありませんし、内容も改善が必要だと見ています。私の見方は同じ実力の選手が6人揃った時、戦術や戦略、適切な判断によって勝つことができるかどうかという点です。現時点では2人とも仕掛けるポイントをギリギリまで待ちすぎたり、逆に仕掛けた後のダッシュが長かったり、位置取りが悪かったりという点が目につきます。
今後はカテゴリーが上がり、周りの選手のレベルも上がってきますので、彼らを指導する機会には、フィードバックして改善するように伝えています。中野は自転車競技の経験が長いのでポイントだけ伝えていますが、太田は経験が浅いので、より細かく教えるようにしています。
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